【上司との会話がかみ合わない原因】“事実”と“解釈”の違いを知るだけでロジカルに話せるようになる

【上司との会話がかみ合わない原因】“事実”と“解釈”の違いを知るだけでロジカルに話せるようになる

「それ、本当に“事実”ですか?」

——解釈と混同した瞬間、あなたの仕事はズレ始める。

会議のあと、こんなモヤモヤを抱えたことはありませんか?

「あれ?なんで話が噛み合わないんだろう」
「言ってないことを“そういう意味だったんですね”と決めつけられた」
「上司の指摘が、ただの“感想”にしか聞こえない…」

実はその違和感、すべて「事実」と「解釈」がごちゃまぜになっていることが原因かもしれません。

ビジネスの現場では、驚くほど多くの人が“事実のように話された解釈”に振り回されています。あなたの上司も、もしかしたらそのひとりかもしれません。

でも安心してください。
この“混乱”には明確な対処法があります。

本記事では、以下の3点をわかりやすく解説します。

  • そもそも「事実」と「解釈」は何が違うのか?
  • 混同しがちな会話の中で、どうやって見分けるのか?
  • なぜこの区別が、仕事の質や人間関係を左右するのか?

読み終わる頃には、あなたは「見える景色」が変わっているはずです。
そして、言葉の使い方ひとつで、伝わる・伝わらないの差がどれほど大きいかに気づくことになるでしょう。

Contents
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  1. 事実と解釈の違い——なぜ分けて考えるべきなのか?
    1. そもそも「事実」とは?
    2. では「解釈」とは?
    3. 【例で納得】事実と解釈のちがい
      1. ■ 例①:気温について
      2. ■ 例②:商品の価格について
    4. まとめ|“客観”か“主観”かで見分けよう
  2. 事実と解釈の区別がついていないことは案外多い
    1. 事実を聞かれているのに、解釈で答えてしまう
    2. あいまいな言葉で会話している
    3. どうすればいいか?|言葉を定義すればOK
    4. まとめ:事実と解釈を分けるだけで、仕事は驚くほどスムーズになる
  3. 事実と解釈を区別するコツ
    1. 客観=「YES or NO」で答えられる/数字で示せる
      1. YES/NOで答えられるか?
      2. 数字で示せるか?
    2. 主観=抽象的な言葉/語尾に「〜と思う」「〜な気がする」
      1. 抽象的で、定義があいまい
      2. 語尾に“思う”“感じる”“見える”がつく
    3. 明日からできる!事実・解釈チェックリスト
    4. まとめ|言葉を整えると、思考も仕事も整う
  4. ルールを決めても、現場では機能しない
  5. まとめ|相手に期待せず、“自分の受け取り方”を変えよう
    1. 事実と解釈を見分ける3つのポイント
    2. なぜ“解釈まみれの会話”は危険なのか?
    3. 全員で「事実ベース」を徹底するのは難しい
    4. 自分の受け取り方を変えれば、仕事はラクになる
    5. 「それ、事実ですか?」は禁句です(笑)
    6. 今日から実践できる「聞き方の習慣」
    7. 最後にひと言

事実と解釈の違い——なぜ分けて考えるべきなのか?

あなたは、こんなやりとりを経験したことはありませんか?

「ちゃんと報告したはずなのに、伝わっていなかった」
「言ってないことまで“そういう意味でしょ?”と決めつけられた」

もしかすると、その混乱の原因は——
「事実」と「解釈」がごちゃまぜになっていたからかもしれません。

ここでは、ビジネスでも日常でも役立つ「事実と解釈の見分け方」を、具体例とともに解説していきます。

そもそも「事実」とは?

まずは基本から押さえておきましょう。

事実(じじつ)とは?
実際に起こったこと、現実に存在すること。

たとえば:

  • 2019年5月1日、日本の元号が「令和」に変わった
  • 東京都庁は新宿区にある

こうした内容は、「誰が見ても変わらない」「確認すれば一致する」もの。
つまり、事実は“客観的”であるというのがポイントです。

では「解釈」とは?

一方で、こちらはどうでしょう?

解釈(かいしゃく)とは?
物事や人の言動などについて、自分なりに考え、理解すること。

たとえば:

  • セブンイレブンの店舗数は多い
  • 今年の冬は暖かい
  • このスマホは高い

…といった表現。
どれも「何と比べて?」という基準が人によって違うものばかりですね。

つまり、解釈は“主観的”で、人によって変わるというのが大きな特徴です。

【例で納得】事実と解釈のちがい

ここからは、もっとイメージしやすい具体例で比較してみましょう。

■ 例①:気温について

  • 事実:今日は気温が35度ある
  • 解釈:今日は暑い

→「35度」は気象データとしての事実。
→「暑い」は人によって感じ方が違う主観。

■ 例②:商品の価格について

  • 事実:このスマホは10万円する
  • 解釈:このスマホは高い

→「10万円」という価格は誰が見ても変わらない事実。
→「高いか安いか」は、その人の収入や価値観で変わる解釈。

まとめ|“客観”か“主観”かで見分けよう

覚えておきたいのはこのポイント:

区別軸内容
事実客観的な情報。誰が見ても変わらない。検証できる。
解釈主観的な感想。人によって異なる。感情や判断が含まれる。

「今、自分が口にしているのは“事実”なのか、それとも“解釈”なのか?」

この問いを意識するだけで、あなたの伝え方・受け取り方は一段とクリアになり、仕事の精度もグッと上がるようになります。

事実と解釈の区別がついていないことは案外多い

「事実と解釈の違い? そりゃあ、簡単でしょ」

そう思ったあなた。……実は、頭ではわかっていても、会話の中では無意識に混同していることがとても多いんです。

特にビジネスシーンでは、“言ったつもり・伝わったつもり”のミスコミュニケーションが、あとから大きな手戻りや誤解を生んでしまうことも。

その典型的なパターンが、以下の2つです。

  • 事実を聞かれているのに、解釈で答えてしまう
  • お互いにあいまいな言葉だけで会話してしまう

それぞれ具体例を見ながら、「なぜ非効率になるのか?」を一緒に考えてみましょう。

事実を聞かれているのに、解釈で答えてしまう

ある日、こんなやりとりがあったとします。

上司と部下のすれ違い会話

上司:契約、とれた?
部下:説明はかなりうまくいったと思います。
上司:え?じゃあ契約とれたの?
部下:いえ、まだです…。
上司:じゃあ、何が足りなかったの?
部下:予算に納得いってない感じでした。
上司:具体的に、どの部分?
部下:うーん、全体的に…ですかね。
上司:他の部分は問題なかったってこと?
部下:たぶん大丈夫だと思います。

一見、ちゃんとやりとりしているように見えますが、実は上司が求めている“事実”に、部下がすべて“解釈”で答えているのが問題です。

このやりとりで起きていること

上司の質問求めているのは…部下の返答実はこれ…
契約とれた?事実(Yes/No)説明はうまくいった解釈
条件は何?事実(具体要因)予算に納得いってない感じ解釈
予算の何が?事実(詳細)全体的に納得してない解釈
他に問題は?事実(有無)たぶん大丈夫解釈

このように、事実と解釈がごちゃまぜになると、上司は状況を正確に把握できず、的確な判断も指示もできません。

結果、どうなるかというと——

事実と解釈の混同がもたらす“非効率”
  • 要点がぼやけて次の一手が見えなくなる
  • 確認作業が増えて二度手間・やり直し
  • 思い込みで進んでズレた対応・トラブルの原因に

こうした“伝わっているようで伝わっていない”やりとりは、あなたの周りにも案外多いのではないでしょうか?

あいまいな言葉で会話している

もうひとつのよくあるパターンがこちら。
「それ、定義があいまいすぎて伝わらない」問題です。

会議中のよくあるやりとり

Aさん:うちの部の課題って何がある?
Bさん:Eさんは営業力が足りないですよね。
Cさん:F課長のマネジメント力にも課題があると思います。
Bさん:G課長は当事者意識あるけど、F課長はないように見えます。
Aさん:じゃあ、Eさんには営業力をつけてもらおう。F課長にはマネジメント力と当事者意識を…。

ここでの問題は、“営業力”や“マネジメント力”、“当事者意識”といった言葉が、誰にとっても定義がバラバラなこと。

その結果、起きるのはこんな現象です。

“あいまいワード”が招く混乱
  • 「営業力」って何を指してる? → 人によって違う
  • 「当事者意識がない」って何をもって? → 見え方の問題?
  • 「マネジメント力」って成果?人望?プロセス? → 解釈の解釈になってしまう

つまり、共通認識のない“解釈同士”で会話しても、具体的な改善にはつながらないのです。

どうすればいいか?|言葉を定義すればOK

あいまいな言葉は、「どんな意味で使っているのか?」を定義してから使うのが鉄則。

たとえば、「営業力」を定義するなら

  • 清潔感のある身だしなみ
  • 商品理解力
  • 提案書の作成力
  • 訪問件数
  • 信頼関係を築くトーク力

このように「要素分解」すれば、
何が足りなくて、何を伸ばせばいいかが“誰にとっても明確”になります。

まとめ:事実と解釈を分けるだけで、仕事は驚くほどスムーズになる

「事実」と「解釈」がごちゃごちゃのまま進むと、
手戻り・誤解・非効率・トラブルがどんどん積み重なります。

でも、逆に言えば——
ほんの少し、「今のは事実?解釈?」と自分に問いかけるだけで、会話の質が劇的に変わるのです。

次章では、こうした区別を“日常業務に活かす”ためのコツを解説していきます。
「伝え方」「聞き方」「書き方」それぞれで、どう実践していけばいいのか?
実用的なヒントを具体的にご紹介していきます。

事実と解釈を区別するコツ

「事実は客観」、「解釈は主観」——
ここまで読んでくださったあなたなら、もう違いの基本は理解されていると思います。

でも、実際の会話の中では、どちらなのか迷う瞬間もあるはずです。

そこで最後に、「それって事実?それとも解釈?」を一瞬で見分けるコツをお伝えします。

客観=「YES or NO」で答えられる/数字で示せる

まずは“事実=客観”の判断基準から。

YES/NOで答えられるか?

  • 「契約は取れましたか?」→ YES or NO
  • 「この資料は提出済みですか?」→ YES or NO

→ これらは誰が答えても同じになる質問です。

にもかかわらず、返答が

  • 「けっこう手応えはありました」
  • 「たぶん大丈夫だと思います」

…となると、それはすでに“主観”=解釈に入ってしまっている、というわけですね。

数字で示せるか?

数字は最強の客観情報です。

主観の言い方客観への変換例
かなり時間がかかる完了までに7営業日かかる
ほとんどの人が反対している回答者の75%が反対した
売上が上がっている先月比+12%

「感覚」ではなく「データ」で語ることが、客観性の鍵になります。

主観=抽象的な言葉/語尾に「〜と思う」「〜な気がする」

一方で、“解釈=主観”の特徴はどうかというと…

抽象的で、定義があいまい

  • 主体性がない
  • リスクがある
  • やる気を感じない
  • 営業力が足りない

こうした言葉は、「何をもってそう言えるのか?」が人によって違います。つまり、主観のかたまりなんです。

語尾に“思う”“感じる”“見える”がつく

  • 「たぶんうまくいくと思う」
  • 「納得してないように見えた」
  • 「やる気がない気がする」

これらはすべて、推測・印象・憶測の域を出ません。

もちろん、主観がすべて悪いわけではありません。
ただ、それを“事実として伝えてしまう”ことが問題になるのです。

明日からできる!事実・解釈チェックリスト

文章でも会話でも、「それ、事実?解釈?」をチェックしたいときはこの2つを思い出してください:

チェック項目YESなら…NOなら…
YES/NOで答えられる?客観(事実)主観(解釈)かも
数字・固有名詞で説明できる?客観(事実)抽象的すぎるかも

まとめ|言葉を整えると、思考も仕事も整う

「なんとなく伝わってる気がする」
「ちゃんと説明したつもりだったのに…」
そんなミスコミュニケーションのほとんどは、事実と解釈の混同から生まれています。

けれど、それをほんの少し意識するだけで、驚くほど会話はスムーズに、仕事の精度も上がるのです。

“伝える”はスキル。“伝わる”はテクニック。
その第一歩が、「事実と解釈を分けること」です。

次の会議、上司との報告、メール文。
どれかひとつでいいので、まずは試してみてください。
きっと、相手の反応が変わるはずです。

ルールを決めても、現場では機能しない

「よし、これからは会話のときに“事実と解釈を明言する”ってルールにしよう!」
…そう思った方、ちょっと待ってください。

ビジネスの議論は、課題を見つけ、解決へと導くためのもの。
しかし、その場でいきなり「はい、これは事実です」「今のは解釈です」と明言しながら話すのは……現実にはかなり難しいのが本音です。

正直に言えば、僕自身も完璧にできていません。
解釈はどうしても会話の中に入り込んでしまうものです。

そして何より、ルールを敷いても——

  • 守れない人が出てくる(というか大多数がそう)
  • 自分自身もずっと意識するのはしんどい
  • うまくいかなかったときに“自分で作ったルール”が首を絞める

こんな状態になってしまっては本末転倒ですよね。

だからこそ、「ルールで縛る」よりも「自分で見極められる力をつける」方が、ずっと実践的で現実的なんです。

まとめ|相手に期待せず、“自分の受け取り方”を変えよう

最後にもう一度、この記事の要点を整理しておきましょう。

事実と解釈を見分ける3つのポイント

  1. 事実は「誰が見ても変わらない」客観情報
     → YES/NOで答えられる、数字・日付・固有名詞などで表現できる内容。
  2. 解釈は「人によって異なる」主観的な意見
     → 抽象的な言葉や「〜と思う」「〜な気がする」などが目印。
  3. 迷ったら“数字で語れるかどうか”を判断軸に
     → 感覚ではなくデータで語れるか?を意識すると、精度が上がります。

なぜ“解釈まみれの会話”は危険なのか?

  • 議論がかみ合わない
  • 論点があいまいになって課題が解決しない
  • 誤解・手戻り・トラブルにつながる
  • 結果、チーム全体が“非効率スパイラル”に陥る

→「なんかずっと会議してるけど、何も決まらない」状態は、たいてい解釈同士の応酬が原因です。

全員で「事実ベース」を徹底するのは難しい

「今後は全員、事実と解釈を区別して話しましょう!」というルールを設けたところで——

  • 多くの人は無意識に主観で話してしまう
  • 自分自身もずっと完璧には守れない
  • 守られないルールは逆にフラストレーションの原因になる

→ 結果、ルールは形骸化してしまいます。だからこそ、自分自身が“受け手としてのスキル”を高める方が確実なのです。

自分の受け取り方を変えれば、仕事はラクになる

  • 相手の発言を「これは事実かな?解釈かな?」と分類する習慣を持つ
  • 解釈のまま話す人にイライラするのではなく、自分の中で整理して受け取る
  • あいまいな言葉は「どういう意味で使ってる?」と確認することで認識を合わせる

→ 相手に“変化”を求めるのではなく、自分の思考の解像度を上げることが、最大の武器になります。

「それ、事実ですか?」は禁句です(笑)

上司や先輩が

「もっと主体性持ってくれよ」
「あの案件はなんか不安だよね」

こんなことを言ってきたら——

このとき、あなたがいくら論理派でも、

「それは事実ですか?それとも解釈ですか?」

なんて返してしまうと、あなたのキャリアに“不要な波紋”が広がる可能性大です

→ だからこそ、“自分の中で整理する”だけでOK。相手を変えようとしなくていいのです。

今日から実践できる「聞き方の習慣」

  • 心の中で「それは事実?解釈?」と問いながら聞く
  • 解釈っぽい発言は、事実に分解してメモをとる
  • 自分が話すときは「数字」「事実ベース」を意識する

これだけで、会話の質と理解力がぐっと上がります。

最後にひと言

伝え方にこだわるより、受け取り方を変える方がずっと簡単。

相手が変わらなくても、あなたは変われます。
あなたが変われば、周囲とのズレも自然と減っていきます。

ぜひ、明日から試してみてください。
「聞き方の質」が、あなたの仕事の成果を確実に変えてくれます。

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