- 仮説思考ってどういうやり方があるの?
- 仮説ってどうやって立てればいいの?
このような疑問にお答えします。
本記事の内容
- 仮説の立て方を解説します
- 仮説の立て方が身につきます
仮説思考とそのメリットについて紹介してきました↓
普段の生活のなかでも何気につかっている仮説思考ですが、『仮説の立て方』を知っておくことで、より理解が深まると思います。
仮説思考で仕事をしている上司はけして多くはありません。
仮説の立て方を知ることで、いかに上司がてきとーなことを言っているのかもわかるようになりますよ?
今回はそんな『仮説の立て方』について解説していきます。
仮説の立て方
仮説の立て方に使う考え方は全部で3つあります。
- 演繹法
- 帰納法
- アブダクション
それではひとつずつ見ていきましょう。
演繹法とは
一般的で普遍的な事実であるルールや法則に当てはめて、結論を導きだす考え方です。
たとえば
【当てはめ】現在、地域の人口は減少している
↓
【仮説】したがって、客数は減るだろう
こんなかんじのことです。
ただ、【法則】のなかに「人口が減ると、客数が減る」という仮説がすでに含まれています。
なので、その仮説を証明するときには有効なのですが、なにか新しい仮説を考えるのにはちょっと向いていない考え方になるのですね。
帰納法とは
さまざまな事実や事例の共通点から出した傾向に当てはめて、結論につなげる考え方です。
たとえば
【事実2】B店で求人広告を出したら、アルバイトの応募が増えた
【事実3】C店で求人広告を出したら、アルバイトの応募が増えた
↓
【仮説】したがって、求人広告を出したら、アルバイトの募集は増えるだろう
こんなかんじのことです。
過去の事例や経験を用いているので、「求人広告を出したら、アルバイトの応募が増えた」というのも実は仮説です。
なので、演繹法と同じく帰納法にもそもそも仮説が含まれているので、その仮説の証明にはなっても、新しく仮説を考えるのには不向きだったりするのですね。
ニュアンス的には
「おそらくこうなるはずだ」
と、考えて新しく仮説を立てるというよりは
「やっぱりそうだったかー」
と、もともとある仮説を証明するために考えるかんじです。
アブダクションとは
演繹法とも帰納法とも異なる第3の考え方が『アブダクション』になります。
アブダクションは、起きている現象に一般的な事実を当てはめて、仮説を導き出す考え方です。
たとえば
↓
【一般的な事実】黒い雨は雨雲だ
↓
【仮説】雨が降るかもしれない
こんなかんじのことです。
ビジネスシーンでたとえると
【現象】売上が落ちている
↓
【一般的な事実】客数が減ると、売上も落ちる
↓
【仮説】売上が落ちているのは、客数が減っているのかもしれない
***
【現象】客数が減っている
↓
【一般的な事実】競合店の影響が出ると、客数は減る
↓
【仮説】客数が減っているのは、競合店の影響を受けているのかもしれない
***
【現象】競合店の影響を受けて、客数が減っている
↓
【一般的な事実】競合店のほうが安く販売していると、競合のほうに客は流れる
↓
【仮説】競合店のほうが安く販売しているのかもしれない
単純な例だとこんなかんじのことになります。
わりと普段から使ってるかもですね。
このように仮説を考えていく方法をアブダクションといいます。
アブダクションを使うメリット
アブダクションには演繹法や帰納法にはない、2つのメリットがあります。
- 多様な仮説を立てることができる
- 仮説の精度を上げることができる
上記のとおりです。
演繹法や帰納法は
「だったら、こうだろう」
「であれば、こうなるだろう」
という、セオリー的な仮説の立て方に対して
アブダクションは
「こういうことも考えられるのではないか」
というように、可能性を広げていく仮説の立て方になります。
それが、多様な仮説を立てることと、仮説の精度を上げることにつながっていくのですね。
① 多様な仮説を立てることができる
たとえば前述のこちらの例で考えてみましょう。
↓
【一般的な事実】客数が減ると、売上も落ちる
↓
【仮説】売上が落ちているのは、客数が減っているからではないか
売上は「客数×客単価」と言われますから
「客数」が減ったのではなく「客単価」が下がった可能性も考えられます。
なので【一般的な事実】を置き換えて考えてみます。
↓
【一般的な事実】客単価が下がると、売上も落ちる
↓
【仮説】売上が落ちているのは、客単価が下がっているからではないか
このように、別の仮説を立てることができるのですね。
アブダクションは
「こういうことも考えられるのではないか?」
と、【一般的な事実】を入れ替えていくことによって、多様な仮説を立てることができるのですね。
ただ、その多様な仮説を立てられるかどうかは、どれだけ【一般的な事実】を知っているかによってきます。
日頃の経験から「こういったときは、こういうことが起こりやすい」という【一般的な事実】を、自分のなかに蓄積できているかどうかがものを言うということなのですね。
経験の蓄積が多い人は、起こった現象から瞬時に仮説を導き出すことができます。
『一を聞いて十を知る』ですね。
② 仮説の精度を上げることができる
アブダクションは「こういうことも考えられるのではないか?」と考えていくことで
- 仮説の切り口(他に可能性はないか)
- 仮説の深掘り(なぜそうなったのか)
この2つで仮説の精度を上げていくことができます。
仮説の切り口(他に可能性はないか)
「多様な仮説を立てられる」ということは、「思い込み」や「決めつけ」を防ぐことにもつながります。
たとえば、「売上が下がった」というのも「客数が減ったからだ」と決めつけずに
- 客単価が下がった可能性もある
- 1人当たりの購入頻度が減ったということも考えらえる
このように他の切り口で考えていくことで、検討漏れが減り、仮説の精度を上げることができるのですね。
仮説の深掘り(なぜそうなったのか)
仮説の切り口に対して「なぜそうなったのか」、その理由や原因を考えることで、その仮説の妥当性を確認します。
これも「思い込み」や「決めつけ」を防ぐ効果があります。
たとえば、「客数が減ったのではないか」という切り口に対して、「なぜそうなったのか」で考えてみると
- 競合店の影響を受けているのではないか
- サービスレベルが低下しているのではないか
- 小売業全体で客数が落ちているのではないか
このように、理由や原因の仮説をさらに考えることで、仮説の妥当性を確認できます。
へんな話、「客数が減ったからなのでは」と仮説を立てたとしても、その理由や原因が考えられないのであれば、「客数が減ったからなのでは」というのは仮説でもなんでもなく、ただの「思いつき」になってしまうのですね。
ようはロジックツリーをつくるということになります
図で表すとこんなかんじになります。
わりとよくみる図かと思います。
仮説をロジックツリーで可視化させることで、より抜け漏れのないように考えることができるのですね。
まとめ:アブダクションで仮説を考えましょう
- 仮説を考えるときにはアブダクションを使うとよい
- 演繹法や帰納法はセオリー的な仮説の立て方なので、新しく仮説を考えるのには向いていない
- アブダクションは、多様な仮説を立てられる
- アブダクションは、仮説の精度を上げられる
- ロジックツリーをつくって可視化させるとなおよし
上記のとおりです。
アブダクションを活用して、「思いつき」「思い込み」「決めつけ」を回避することで、仮説の精度もあがり、仕事の効率も上がっていきます。
とはいえ、思いつきばかりの上司、思い込みのはげしい上司、決めつけて人の話をまったく聞かない上司、そんな上司も多いのではないでしょうか。
そういう上司には何を言っても無駄なのですね。
上司に進言した場合のことをアブダクションで考えつつ、サラリーマンライフをサバイブしていきましょう。
会社の体質や上司の考えを変えるのは難しいですが、自分の守備範囲や決裁権のある範囲でなら、仮説思考も役立てることができると思いますので、ぜひ活用してみてください。
ではでは
お疲れさまでした。
この上司、仮説思考に非対応だったわー