- 上司が提案内容にダメ出しばかりしてくる
- 上司がなかなか判断してくれない
- 上司に提案しても差し戻されることが多い
このような疑問のお答えします。
本記事の内容
- 判断しない上司への対策として、コントラストの原理を解説します
- コントラストの原理を活用すれば、あなたの提案も通りやすくなります
- 提案を通す力は、モノゴトを推し進める力になります
提案しても、なかなか判断してくれない上司っていますよね。
上司が速やかに判断してくれないことで、仕事が前に進まないこともあると思います。
部下のパフォーマンスを下げてくる上司はけっこういるのですね。
ポンコツ上司のスペックが上がることは一生ありませんが、こちら側の仕事のしかたをひと工夫することで、判断してもらいやすくすることもできます。
先に結論からいってしまうと
提案内容を2つ以上用意して比較対象をつくるのですね。
「本命の案」と合わせて「当て馬の案」も用意して比較させることで、本命の案の良いところを際立たせるようにするのです。
これを『コントラストの原理』と言います。
今回はそんな『コントラストの原理』を活用した『判断しない上司への提案のしかた』について解説していきます。
渾身の案を出してもあらさがしされるだけ
すごい考えて「これだ」と思ってまとめた企画や提案が差し戻されることってありませんか?
判断しない上司は、「これってどうなの?」とか「これはリスクが」とか言って差し戻しては、意思決定を避けようとしてきます。
判断力のない上司は、自分の意思決定に自信がなかったりします。
不安材料を消すために、石橋を叩くがごとくあらさがしをしてくるのですね。
そのため
- 論点が「是非」になる
- 審査みたいになる
- あらさがしの減点方式になる
- リスクについてうるさくなる
- 協議が対立になる
- 論破合戦になる
このようなことなります。
論点が「是非」になる
提案なので、その提案内容が正しいかどうか(是非)ではなく、まずはイエスなのかノーなのか(可否)から始めるべきなのですね。
ですが、「判断に自信のない上司」と「提案内容が1つ」ということがあいまって、「是非」についての協議になりがちです。
そのため
- 正しいかどうかの審査を受けているかのようになり
- 正しくなさそうな点をあらさがしされ
- 正しくなさそうなことがあれば減点
- とくにリスクについてはゼロを求められる
こういうことになるのですね。
提案している側からすれば
「それくらい、いいじゃんか」
「まじ、こまけー」
と思うようなことでも、重箱の隅をつつくがごとく指摘してきます。
それが判断できない上司なのですね。
協議が対立になる
論点が「是非」になり、正しいかどうかの協議になってしまうと、どうしても「否定」VS「肯定」の図式になります。
自分がせっかく考えてきた提案に、細かいことでケチつけられたらムカつくじゃないですか?
なので、否定には否定で返しちゃうんと思うんですね(つまり否定 VS 肯定)
自分の提案を肯定したいところですが、比較するのものがないと伝わりづらかったりします。
そうして、論破合戦に発展していくのですね。
1つだと是非になるので、あえて比較対象を用意する
上司のポンコツっぷりが一番の原因だったりするのですが、「提案内容が1つ」だと、どうしても是非になってしまう傾向があります。
なので、あえて比較する対象を用意します。
比較するものがあることで「是非」になることを回避することができるのですね。
そこで出番となるのが『コントラストの原理』なのです。
コントラストの原理とは
『コントラストの原理』は、人間の脳の性質を利用した原理のことです。
またの名を『知覚のコントラスト』ともいいます。
人間の脳は「客観的」ではなく「相対的」に反応する仕組みになっているのですね。
客観的ではなく相対的に反応する
どういうことかというと
という心理的傾向があるということなのですね。
例① 重さの感じ方
重さが「10Kg」の物を持つとき
- 「5Kg」の物を持ったあとだと、重く感じる
- 「15kg」の物を持ったあとだと、軽く感じる
このように、重さの感じ方がまったく変わってきます。
例② 温度の感じ方
温度が同じ「10℃」の水に手をつけるとき
- 「5℃」の水に手をつけたあととだと、温かく感じる
- 「15℃」の水に手をつけたあととだと、冷たく感じる
このように、温度の感じ方がまったく変わってきます。
前に提示されたものが、後へ提示されたものに影響をあたえる
後から提示されたものへの感じ方は、その前に提示されたものの影響を大きく受けるということなのですね。
実際には同じものであるにもかかわらずです。
このような、心理的傾向のことを『コントラスト効果』(または知覚のコントラスト)というのですね。
『コントラストの原理』は日常生活のなかで使われている
なにも比較対象がない場合と、比較対象がある場合とでは、商品やサービスの印象や価値の感じ方がまったく変わってくるのですね。
では、具体例で見てみましょう。
アパレルショップだと
たくさんの色を用意しているから、全部が売れていると思うかもしれませんが、売れ筋のシャツはやっぱり「白・紺・黒」の定番色だったりします。
コントラストをきかせて定番色を買う決断を促しているのですね。
他の色がないと「定番だから今度でもいい」と買わない客も多いのです。
不動産屋だと
たとえば予算3,000万円で家を買いにお客がきたとします。
希望の3,000万円前後の物件だけを紹介するのではなく、あえて5,000万円物件も混ぜて紹介するのですね。
3,000万円前後の物件だけしか見せないと、どれも似たりよったりに見えてなかなか決められなかったりします。
ですが、5,000万円の物件を見せた後に、同じレベルだけど駅から遠いなどの理由で3,000万円の物件を見せると、お客はお得な物件だと感じて決めてもらいやすくなります。
これもコントラストをきかせて、判断を促しているということなのですね。
ようは比較する対象をあえてつくるということ
似たようなものばかり見せるより、コントラストをきかせたほうが決めやすいということなのですね。
コントラストをきかせた提案をすることで、お客が悩まずに決めやすくなり、決めた結果にも満足しやすくなります。
光を見せるために、あえて影も見せるということなのですね。
『コントラストの原理』を上司への提案に活用する
ということで、この『コントラストの原理』を、上司への提案に活用していきたいと思います。
本命の案のほかに当て馬の案を用意する
ここまで読み進めていただいたあなたであれば、もうお察しのことでしょう。
そうです。
あえて当て馬の案を用意するのですね。
当て馬なので、内容は荒くても大丈夫です。
ということが伝わればOKです。
当て馬で用意する案のポイント
- 本命の案と似たような内容にしない
- 方向性が違うものを用意する
- 誰が見ても「ダメでしょ」という案を用意する
- 現実的ではないパターンも用意する
- 本命のほかに2つ、合わせて3つあるとよい
こんなかんじです。
うまく本命の案に誘導できるようにしましょう。
各案件の評価を可視化しておく
当て馬の案を用意するのとセットでやっておきたいのが「評価の可視化」になります。
これは見てもらったほうが早いと思います↓
- A案→本命の案
- B案→現実的ではない案
- C案→誰が見てもダメな案
こんなかんじです。
寸評を入れるのもありです。
このように、評価が一目で比較できるようにしておくことで、本命の案件を際立たせることができ誘導しやすくなるのですね。
ウソはダメですけど、メリハリをつけるために多少盛るのはありです。
あと、評価の項目は「例」なので、期間や必要人数など案件の内容によって変えてください。
やらない場合をパターンに入れるのも効果的
「何もしない→機会損失」という考え方もあります。
ちょっと難易度は高いかもしれませんが「何もしない場合はこういう損失が発生します」という案を提案するのもありなのですね。
実はダブルバインドとの合わせ技
二つの選択肢を提示してどちらかを選んでもらうことで、相手から「NO」を言わせなくする心理テクニックのことを『ダブルバインド(二者択一法)』と言います。
いや、二つじゃねーじゃん
って思ったかもしれませんが
という思考になるように実は誘導しているのですね。
「どれもダメ」という選択肢を心理的に隠しているのです。
あくまで心理テクニックなので絶対に有効というわけではないです。
でも、上司ってアホじゃないですか?
なので、だいたいはまんまと引っかかってくれるのですね。
「原案通りに承認」とはいかなくても、本命案をベースに「多少手直しの指示が出てOK」になることは多いです。
YESかNOで答えられる質問ではなく、あえて選択制の質問にすることで、「買うかどうか」ではなく、「どちらを買うか」の思考に誘導させているのですね。
まとめ:モノゴトを推し進める力をつけよう
- 上司への提案は本命案一つで挑まない
- コントラストの原理を活用して、当て馬案も用意する
- 評価の一覧をつくるとベター
- くらえっダブルバインド!と心のなかで叫んでみる
上記のとおりです。
判断しない、判断できない上司はわりと多いです。
上司に期待したところで上司は1ミリも変わることがありませんが、自分の仕事のしかたは変えられるのですね。
判断力のない上司に判断してもらうようにするアプローチは、あなたの説明力や交渉力のレベルアップにつながり、モノゴトを推し進めていく力になっていきますので、ぜひ試してみてください。
ではでは
お疲れさまでした。
アホでたすかったわー