念のための転職活動|『今すぐ辞めない人』こそ始めたい“安心と自信”の備え方

夜、最終電車の窓に映る自分の顔をぼんやり眺めながら、ふと考えるようになりました。
「もし上司が変わったら? 会社の方針が急に変わったら?」——。
いまの職場に致命的な不満はない。けれど、“将来の不確実さ”だけが、じわじわと心の奥を占めていく感覚がありました。
以前の私は、転職サイトを開くことすら“裏切り”のように感じていました。
登録画面で指が止まり、ブラウザをそっと閉じる——そんな夜を何度も繰り返していたんです。
でも、ある夜に思い切って「登録だけ」してみた瞬間、少しだけ呼吸が楽になりました。
プロフィールを数項目埋め、職務経歴を書き始めるうちに、不思議と胸のざわつきが静まっていった。
「いざとなれば動ける」——その感覚が、思った以上に心を軽くしたんです。
これは意志の強さの問題ではありません。
人は“先の見えなさ”に不安を覚える生き物で、小さな行動が不安を“解像度の高い課題”に変えるから、心が整うのです。
この記事では、私が「念のための転職活動」を通じて感じた、心の変化と実践のステップをお伝えします。
結論から言えば、転職するかどうかは最後に決めればいい。
まずは“準備だけ”で充分です。小さな一歩が、あなたの毎日に安心と自信をもたらしてくれます。
“転職する気はない”けど登録だけしてみた|軽い一歩がくれた心の余裕
最初の壁は、たった10分の登録でした。
会社の休憩室で、スマホの画面を開いては閉じ、また開く。
「名前は伏せられる」「職場ブロックもできる」とわかっていても、指先が重かった。
「いまの会社に悪い」「本気じゃないのに」と、自分を責める癖が顔を出して、何度もブラウザを閉じたんです。
その夜、私は“できる範囲だけやってみよう”と決めました。
プロフィールは最低限、希望条件はふわっと。完璧を求めず、ざっくりでいい。
そう言い聞かせて送信ボタンを押した瞬間、ふっと肩の力が抜けました。
思っていたよりも、怖くない。
「いつでも選べる自分」という感覚が、静かに心を支えてくれるのを感じました。
数日後、届いたスカウトメールには、未経験歓迎のポジションや、想像もしなかった業界からの打診が並んでいました。
それらにすぐ応募する気はなかったけれど、“選択肢がある”という事実だけで、世界が少し広く見えた。
不安が“閉じ込められた箱の中”から、“外の風が入る場所”に変わった感覚でした。
- 現職・グループ会社・主要取引先をブロック設定
- 表示名は「イニシャル+業界名」など匿名寄りに
- 詳細は後からでOK。まずは“登録の壁”を越えることに集中
- 登録だけでも、心の余白が生まれる。
- 不安は「行動前」が最大。押してみると案外、怖くない。
- 身バレ防止の初期設定で、心理的ハードルはぐっと下がる。
職務経歴書は“転職の書類”ではなく、“キャリアを整える鏡”だった
空白のテンプレートを前に、最初は手が止まりました。
「何から書けばいいんだ…?」。
真っ白な画面を前に、まるでテスト開始直後のような緊張感。
でも、そこでルールを一つ決めました。
“全部書こうとしない。過去3年だけに絞る”。
プロジェクトを思い出しながら、
「事実 → 役割 → 成果 → 学び」の順にメモしていく。
数字が出せない案件は、プロセス改善や関係者の巻き込みを中心に。
上司との調整で詰まった場面も、振り返ると“問題解決プロセスの経験”として書けました。
書き進めるうちに、ページの空白が埋まっていくのと同時に、心の中の「自分への不信」も少しずつ薄れていきました。
そして気づいたんです。
私は、部署横断の調整が得意で、混乱した場面で段取りを立てるのが速い。
これまで当たり前すぎて言葉にしてこなかった強みが、文章にした瞬間、“再現可能な価値”として立ち上がってきたんです。
「できていないこと」ではなく、「積み上げてきたこと」を数え直す作業。
それが、自己否定の霧を晴らす最初のステップでした。
- 職務経歴書は“自分を複製する取扱説明書”。
- 数字が弱くても、プロセス価値は必ず書ける。
- 書くほどに、自己効力感(自分はやればできる感覚)が回復する。
転職エージェントとの対話が教えてくれた、「今の自分の立ち位置」
初めてのオンライン面談。
パソコンのカメラを前に、自己紹介の途中で噛み、想定外の質問に詰まりました。
正直、「やっぱり自分は準備不足かも」と焦った瞬間もありました。
でも、エージェントが返してくれたのは意外な言葉でした。
「○○さんは、“混沌を整える力”がありますね。
これを面接で伝えるだけで、通過率がぐっと上がりますよ。」
その一言で、胸の中にあったモヤモヤが少しほどけました。
面談の中でエージェントは、実際の求人票を画面に映しながら、こう言ってくれました。
「この職種なら相性がいい」「その要件は今の経験で十分」
そして足りないスキルについては、“後から補えるもの”なのか、“致命的な不足”なのかを明確に線引きしてくれたんです。
まるで、自分のキャリアを地図上に置き直すような感覚でした。
“いまの自分は市場でどのあたりにいるのか”、
“どんな方向に進めば広がるのか”が初めて輪郭を持って見えてきた。
そして不思議なことに、面談が終わる頃には、転職への焦りよりも「今の職場でどう伸ばすか」という意欲のほうが強くなっていました。
市場での立ち位置が分かると、外に出るか残るかではなく、「どう成長するか」という軸で考えられるようになるからです。
- 客観フィードバックが、自己評価の歪みを正す。
- 面談は「転職を決める場」ではなく、「キャリアの地図をもらう場」。
- 市場価値を知ることで、“残る選択”にも自信が宿る。
行動したからこそ見えた、「今の職場を選び直す」感覚
登録・棚卸し・面談。
ひと通りの準備を終えた頃、私は転職しないという選択をしました。
理由はとてもシンプルです。
市場での自分の立ち位置が分かり、いまの職場でまだ伸ばせる余白が見えたから。
そして何より——「いざとなれば動ける」という準備があるだけで、日々の判断が落ち着きました。
上司の方針転換や突然の異動があっても、以前のように焦らない。
“どうしよう”ではなく、“どう動くか”と考えられるようになったんです。
以前の私は、忙しさに流されながら、心のどこかでずっと不安を抱えていました。
「このままでいいのか」「もし環境が変わったら」——その問いに、いつも明確な答えが出せなかった。
でも今は違います。
同じ問いが来ても、“準備済みの自分”として冷静に答えられる。
選択肢を持つことが、これほど心を安定させるとは思いませんでした。
転職活動は「去るため」だけのものではありません。
“残る覚悟”を確認するための時間にもなり得る。
行動したからこそ、今の場所に納得して立てる——そんな静かな強さが、確かに残りました。
- 準備は、「残る決断」の納得感を高める。
- 選べる自分は、日常のストレス耐性を上げる。
- 転職の成否だけが成果ではない。心の安定も立派な成果。
まとめ|“辞めない転職活動”で得られる安心・自信・選択肢
ここまで紹介してきた「登録だけ」「棚卸し」「面談」。
たったそれだけの小さな行動が、想像以上に大きな安心をくれました。
- 安心: 登録・棚卸し・面談という小さな行動が、漠然とした不安を“具体的な課題”に変える。
- 自信: 職務経歴書で再現可能な強みを言語化することで、自己効力感が戻る。
- 選択肢: 市場価値を把握することで、転職する・残るどちらにも“戦略”が持てる。
「会社に不満はないけど、将来がぼんやり不安」——その気持ち、よく分かります。
私も同じでした。
だからこそ、“辞めない前提の転職準備”が効くんです。
やってみると分かります。行動量よりも、「準備がある」という事実そのものが、心の支えになります。
転職する気がなくても、「いざとなれば動ける」準備があるだけで、日々の不安は静まります。
私が最初に登録したのは、リクナビNEXTのスカウト機能でした。
職場ブロック設定をしておけば、現職に知られる心配もありません。
登録はたった5分ほど。
まずは、リクナビNEXTでスカウト登録をする ところから始めてみてください。
「登録だけ」でOKです。
プロフィールを入力し、職務経歴書まで登録しておくと、あなたの経験に興味を持つ企業からスカウトが届くようになります。
職務経歴書を書くのは、転職のためだけではありません。
これまでの仕事を整理する中で、
「あの経験にも意味があった」と気づける瞬間が必ずあります。
焦らなくて大丈夫。
余裕のあるときに少しずつ整理するだけでも、“新しい発見”と“自信”がきっと得られます。