- 上司が「当事者意識を持て」とよく言ってくるが、何が言いたいのかわからない
- 上司に「当事者意識が欠如している」と言われるが、意味がわからない
- 上司に「当事者意識」について聞いてもまともに答えてくれない
この記事はこのようなモヤモヤを感じたことのある方に向けて書いています。
「当事者意識を持て」とか言ってくる上司ってけっこういると思うんですけど
ぶっちゃけ
当事者意識ってなによ?
って思うわけです。
あなたも思いませんか?
当事者意識を持てってどういうことよ? と。
結論から言うと、上司もわかっていないで言ってるんですね。
わかっていないから、聞こえのいい正論しか言えないわけです。
つまり「当事者意識を持て」というのは、マネジメント能力の低い上司がポジショントークをするために使ってくるワードなんですね。
とはいえ、そんな上司を
と吐き捨てることもできませんので
そもそも「当事者意識」とは何かということの理解を深めつつ
「当事者意識を持て」と言ってくる上司への対処法を考えて、サラリーマンライフをサバイブしていきたいと思います。
当事者意識についての基礎知識
まずは、そもそも「当事者意識」とは何か? ということを考えていきます。
当事者意識とは
- 自分自身が、その事柄に直接関係すると分かっていること。
- 関係者であるという自覚。「当事者意識をもつ」
※引用:goo国語辞書
とあります。
じゃあ「自覚」ってなによ? ってなりますよね。
自覚とは
- 自分自身について、はっきりと知ること。
- 自分の状態・地位・任務・価値がどんなものかを、よくわきまえること。そのわきまえ。
「責任を―する」 - 自分で感じ取ること。
「―症状」
※引用:goo国語辞書
だそうです。
意味がわかりませんよね。
もう少し考えてみましょう。
「当事者意識を持て」ということは
「当事者意識がない」ということなのでしょうね。
では「当事者意識がない」とはどういうことでしょうか。
「オマエ、当事者意識ないよね」と言われている人を思い浮かべてみましょう。
- 仕事をしていない、さぼっている
- 本来の役割をまっとうしていない
- 自分の仕事のこと以外には無関心
- 他人事の発言をする
こんなかんじでしょうか。
上司もそこまでバカではないですから
仕事をしていない部下には「仕事しろ」と言いますよね。
本来の役割をまっとうしていないというのも
役割の定義が明確なら「仕事しろ」でいいと思うんですよね。
「当事者」とはその事に直接関係を持つ人のことですから
自分の仕事のこと以外に無関心、他人事の発言をするというのは
直接関係ないんだったら別によくないですか?
「当事者意識を持つ」って
直訳すると「直接関係することを自覚している」ということですから
逆に「直接関係していないことを自覚している」なら、関わらないというのも別にありだと思うんですよ。
整理すると――
「仕事しろ」という言い方をせずに「当事者意識を持て」と言うのは
- 自分の役割以上のことをしろ
- 自分の仕事以外のことにも積極的に関われ
- 他人事と思うな、すべて自分事と思え
このようなニュアンスで使われているように思います。
つまり
上司は自分に都合のいい解釈をして使っているということですね。
勝手に理想の部下像をおしつけているわけです。
言われる側としては、そりゃイミフなわけですよ。
* * *
「当事者意識」って聞こえはいい言葉ですけど、よくよく考えてみると、いかようにでも解釈できてしまう抽象的な言葉なのですね。
抽象的な言葉というものは人によって解釈が異なりますので、使う側は都合のいい解釈で使いがちです。なので言われた側は理解不能なわけですね。
ちなみに「当事者意識(を持つ)」というのはこういうことみたいです↓
- 仕事において、目的に沿った行動をしていること
- 人のせいではなく、自分のせいと考える、責任転嫁しない
- 自分の役割を最後までまっとうする意識
- 他人事ではなく、自分事ととらえて、主体的な行動につなげる
- 何事も自分事と考えて、責任感を持って仕事をする
どうですか?
意味不明でしょう?
あと、「当事者意識を持つ(持たせる)」のはこういった理由があるそうです↓
- 当事者意識があるかないかで成長スピードに大きな差が出る
- 仕事やプロジェクトに自分が関わっているという意識を持っているかいないかで、パフォーマンスが違ってくる
- 当事者意識がないと問題意識も持てず意思決定もできないため、質の高い仕事ができない
- 当事者意識がないと責任を持って自分の仕事をできない
どうですか?
まったく意味がわかりませんよね?
こんなの大きなお世話じゃないですか。
こういうのもありました↓
- 当事者意識を持ち従業員が自ら意思決定を行えば、その後の一連の取り組みにいっそう献身的になる
献身的って意味しってますか?
自分の事を顧みず心身ともに捧げるほど他のために尽くすさま。
――ですよ?
やばくないですか?
さらに↓
- 当事者意識を持つと、今まで言われなければやらなかったことを、自分で行動しはじめる
こわくないですか?
これ、やばいを通りこしてこわくないですか?
もはや「当事者意識を持たせる=社畜育成」と思わざるをえない内容です。
――ということで
「当事者意識」というのは、マネジメント能力の低い管理職からすると、とっても魅力的なワードなのですね。
しかもポジショントークとの相性もバツグンなので、マウント取り放題です。
そりゃあ上司も使いたがりますよね。
当事者意識と責任感は別もの
せっかくなのでもう少し当事者意識について考えてみましょう。
「当事者意識」は「責任感」や「やる気」と混同されがちだが、厳密には異なる。
――だそうです。
- 当事者意識
関係者であるという自覚。 - 責任感
自分の仕事・行為についての責任を重んずる気持ち。 - やる気
進んで物事をなしとげようとする気持ち。
※goo国語辞書
つまり――
『自覚』か『気持ち』の違いということですね。
・
・
・
これ、どっちでもいいですよね?
で、当事者意識って自覚の話なのな?
って、そんな会話したことねーーーわ
いるか? そんな知識? 使うことあるんか?
って、思いましたよね?
ぶっちゃけ、『自覚』でも『気持ち』でも何でもいいのですが、「責任感」や「やる気」と混同されやすいというのは、「当事者意識」がそれだけあいまいで不明確なワードであるということなのですね。
さて――
「当事者意識」についての理解が深まってきたところで、次は「当事者意識の持たせ方」について考えてみましょう。
当事者意識を持たせるには
世の中には不思議なもので、ただでさえイミフなこの「当事者意識」を、部下にどうやって持たせるかということを真剣に考える人たちもいるのですね。
「当事者意識」についてさらに理解を深めるために、その「当事者意識を持たせる」ということについても考えていきましょう。
「当事者意識がない」というのは、もう少し詳しくいうと次のようなことをいうようです↓
- 誰かが何とかしてくれると思っている
- 何でも他人事と考える
- 受け身になる
- 言い訳や責任逃れをする
- 失敗しても何とかなると思っている
- 自分はできないと思い込んでいる
- 最後までやり遂げようとしない
だそうです。
言いたい放題ですね。
では、そんな「当事者意識のない」人に、どうやって当事者意識を持たせるのかというと
このような方法があるのですね↓
- 当時意識を待たせるために関係性と必要性を示す
- 当事者意識を持たせるために細かな指示を与える
- 成功体験ができるような環境を作り、当事者意識を少しずつ育てる
- 当事者意思を持たせるために失敗についても考えさせる
- 責任逃れをしないようにする、責任を持たせる
何かの洗脳プログラムでしょうか。
意味わかりました?
ちなみに、逆に「当事者意識をなくさせる」のは次のようなことだそうです↓
- 発言の機会を与えず、意見を求めない
- 言われたことだけをやるように指示する
- 意図や考えは伝えず、最低限の指示のみする
ええ。そうですよね。
言わなくてもわかりますよ。
やってますよね。
これ、上司がよくやってますよね。
どうです?
上司は部下に対して当事者意識をなくさせる行動をとりつつ
「当事者意識を持て」「当事者意識を持て」と言っているんですよ?
控えめにいって、ムリゲーじゃないですか?
当事者意識の有無は誰がどう決めているのか
「当事者意識を持て」というのは、持っている人には言わないですよね。
ということは、当事者意識を持っているか持っていないかって
誰が、何を見て、どういう基準で、決めているのでしょうか?
「誰が」というと、「当事者意識を持て」というのは上司ですから、やはり上司ですよね。
厳密にいうと『マネジメント能力の極めて低い上司』ですね。
上司とひと括りにしてしまうと『マネジメント能力の高い上司』に失礼ですからね。
マネジメント能力の高い上司は「当事者意識を持て」なんて言いませんから。
では「何を見て」はどうでしょうか?
これは、どうやら『部下の状態』っぽいですね。
「当事者意識がない」を例に考えてみましょう。
- おまえは「誰かが何とかしてくれると思っている」よな
- おまえは「何でも他人事と考える」よな
- おまえはすぐ「受け身になる」よな
- おまえはすぐ「言い訳や責任逃れをする」よな
- おまえは「失敗しても何とかなると思っている」よな
- おまえは「自分はできないと思い込んでいる」よな
- おまえって「最後までやり遂げようとしない」よな
どうでしょう?
つーか「誰かが何とかしてくれると思っている」状態ってなによ? って思いますよね?
なので、その状態って「どういう基準」で決めているかが気になりますよね。
同じく「誰かが何とかしてくれると思っている」で考えてみましょうか。
「誰かが何とかしてくれると思っている」状態であると上司がジャッジする基準です。
・
・
・
・
・
・
わからなくないですか?
てゆーか、そんなの上司のさじ加減ですよね?
上司がそう思ったらそういうことになるってことじゃないですか。
――つまり
当事者意識のあるかないかというのは『上司しだい』ということです。
いいですか?
あなたがどんなに自分が当事者意識を持って仕事をしていると思っていても
上司から「おまえは当事者意識がないよね」と言われればそういうことなのですよ。
どうですか?
盲点でしたか?
あなたじゃないんですよ?
上司が決めるんですよ。上司が。
ちなみに、上司は当事者の『範囲』も勝手に広げますよ?
例えばこんなかんじです↓
↓
「自分の仕事だけでなく、隣の人がどういう仕事をしているのかも気にしてほしいよね」と言われた
このように、『自分→隣→部署→会社全体…』と、どんどん『範囲』を広げちゃうわけです。
どうですか?
上司ってすごいでしょう?
* * *
まとめますと
- 当事者かどうかを決めるのは上司しだい
- 当事者意識の解釈は上司しだい
- 当事者意識を持っているかどうかを決めるのは上司しだい
こういうことになります。
だいぶ「当事者意識」についての理解も深まりましたね。
しかし、まだわからないことがあります。
上司はなぜこうまでして、部下に当事者意識を持たせたがるのでしょうか?
当事者意識を持たせる理由は何か
上司が部下に当事者意識を持たせたがる理由はなんでしょうか?
ここまでのことを整理すると、たぶんこんなかんじでしょうね↓
↓
当事者意識を持つことで部下は献身的に働いてくれるようになる
- 上司が的確な指示を出せなくても、自分で考えて仕事してくれる
- 全て自分の責任ととらえ、上司のせいにしたりしない、不平不満をいっさい言わない
- 上司がリーダーシップを発揮できなくても、主体的に仕事してくれる
- 上司が何もしなくても、高いパフォーマンスを発揮してくれる
↓
なので、当事者意識を持たせる
できないんですね。マネジメント能力が低いから。
なので、自分でもわかっていないで言ってます。
- 従業員たるもの、当事者意識を持つべき
- 従業員たるもの、高い当事者意識を持って会社に貢献すべき
- 当事者意識がないより、あったほうがいい
まあ、ポジショントークしたいだけですね。
でも上司はわかっているフリをしたがりますので、こんなことをよく言います↓
- 自分で考えて動けるようになってほしい
- 広い視野を持てるようになってほしい
- もっと周りを巻き込めるようになってほしい
- もっと前に出てほしい
などなど
知ってますか?
こういうのを『詭弁』っていうんですよ。
詭弁ってこういう意味です↓
論理学で、相手の思考の混乱や感情につけ入って相手をだます、見掛け上は正しそうな、虚偽の推論。
※引用:goo国語辞書
結局のところ、当事者意識を持たせることが『目的』になっちゃっているということなのですね。
ここでひとつの疑問が浮かびあがります。
『意識させる』って『目的』なのでしょうか?
当事者意識を持つ(持たせる)ことは目的ではない
「意識してる、OK!」って、人生のなかでそんなことあります? ないですよね。
じゃあ「意識する」ってなによ? ってことなんですけど
例えば
そんな似たような経験はありませんか?
いままでと見ている光景は同じなのに、何を気にしているかで、そこから得る情報が変わってくるということなのですね。
つまり
「意識する」とは、『アンテナを張る(気付くようにする)』ことなのです。
↓
気付く
↓
行動する
このように考えると
意識するのは、あくまで行動につなげるための前段階となります。
行動が『目的』で、「意識する」は抽象的ですけど、まあ『手段』の一つということですね。
「当事者意識を持つ(持たせる)」が、『手段の目的化』になっていることに気づいてもらえたと思います。
上司は部下に何を期待しているのか具体的な行動を伝えるべき
「当事者意識を持て」とは抽象的で内容は上司しだい。
しかも、別に「当事者意識を持つ」こと自体は目的にはならないわけなんですね。
気づいちゃいましたね?
そうです。
具体的に言えよってはなしですよね。
上司は部下の『状態』を見て、当事者意識のあるないを決めていると前述しましたが、『状態』というのは『行動』の結果なのですね。
つまり、上司は部下の『状態』ではなく、その状態につながった『行動』を見て「当事者意識がない」と思ったはずなんですね。
なので、上司は部下に対して、期待している行動を具体的に伝えればいいんですよ。
行動を見て言っているんなら、「意識を持て」じゃなくて、期待している行動を『具体的に』おしえてあげればよくないですか?
その役割を『具体的に』おしえてあげればよくないですか?
なんでそれが「当事者意識を持て」になるのかイミフですよ。
オメェの目的なによ? ってはなしですね。
具体的に何も伝えていないのに、部下が上司の都合よくうごくわけないのですよ。
ただですね
そうはいっても、それができる上司はほとんどいないんですね。
「もっと前に出てほしいんだよね」
「もっと周りを巻き込んでほしんだよね」
「もっと主体的にうごいてほしいんだよね」
とか、そんなことしか言えない上司がほとんどですから。
今回のまとめ
- 当事者意識は抽象的で意味が不明確な言葉
- ゆえに当事者意識の解釈は使う上司しだい
- 当事者の範囲も上司しだい
- 当事者意識があるかないか決めるのも上司しだい
- つまり「当事者意識」は上司にとって都合のいい解釈で使われる
- そんな上司もよくわかっていないで使っている
- だから言われた方も理解不能
いかかでしたでしょうか。
「当事者意識」は上司がポジショントークで使っているだけなので、言われた側には何もプラスの効果を生みません。
したがって、「当事者意識」は、仕事においてはまったく『価値』のない言葉とも言えるのですね。
当事者意識についての理解が深まったとはいえ
「当事者意識を持て」と言ってくる上司は後を絶たないでしょう。
――では
「当事者意識を持て」と言われたことにはどのような対応をとるのがいいのか。
次回はその対処法について考えていきたいと思います。
ではでは
お疲れさまでした。
この上司また言っちゃってるわー