「この上司、使えない」と思ったら要注意──実務を知らない上司の下で30代キャリアが詰む理由


夜、パソコンを閉じて、ふうっとため息をつく。
「今日も、あの上司のフォローで一日終わったな…」
そんな独り言を、私は何度も心の中で繰り返していました。
- 会議でふわっとした指示しか出さないのに、成果は全部“自分の手柄”のように話す上司
- 現場の実務を知らないのに、「とりあえずやってみてよ」と平然と丸投げしてくる上司
- こちらが必死に調整してなんとか形にしても、「まあ、そのくらい当たり前でしょ?」という顔をしている上司
そんな姿を見ていると、心のどこかで、ついこう思ってしまうんですよね。
「正直、この上司、使えないよな…」 と。
以前の私は、完全にこのモードにはまり込んでいました。
「自分のほうが現場をわかっている」「自分がいなければ、この部署は回らない」と本気で信じていて、上司のダメさにツッコミを入れることが、自分の“正しさ”の証明みたいになっていたんです。
でも、あるタイミングでふと気づいてしまいました。
「この上司の下にいる限り、いつまで経っても“この会社でしか通用しない人”のままなんじゃないか」 と。
その瞬間に湧いてきたのは、怒りではなく、じわっと背筋が冷たくなるような恐怖でした。
なぜなら、私はそのときすでに30代半ばに差しかかっていて、転職市場では決して「若手」とは言えない年齢だったからです。
「上司が使えないこと」にばかり意識を向けているあいだに、自分の成長が止まりかけていたことに、ようやく気づいたんですね。
実務を知らない上司の下で働いていると、日々のストレスやモヤモヤは目立ちます。
しかし、本当に怖いのは、その裏側で静かに進んでいる 「成長の停止」と「市場価値の劣化」 です。
私はそこに気づくのが、正直かなり遅れました。
この記事では、そんな私自身の反省と失敗も交えながら、
について、お話ししていきます。
もし今、心のどこかで
「このままこの上司の下にいて、大丈夫なんだろうか…」
と感じているなら──その直感は、きっと間違っていません。
上司を変えることはできませんが、「このまま茹でガエルになる未来」からは抜け出すことができます。
そのために私が遠回りしながら学んだことを、ここから静かに整理していきますので、同じように悩む方の小さなヒントになればうれしいです。
実務を知らない上司に振り回されると、「心」と「時間」の両方がじわじわ削られていきますよね。
この記事では主に“キャリア”の観点から危機感をお伝えしていますが、無茶ぶり上司から自分を守る具体的な生存戦略も、あわせて知っておくと安心です。
日々の負担を少しでも軽くするための対処法は、こちらにまとめています。
→ 実務を知らない上司の無茶ぶりから心と時間を守る生存戦略
フィードバックゼロの職場は、プロ野球選手が「素振り」だけしているようなもの

実務を知らない上司の下で働いていると、最初に失われるのは「適切なフィードバック」です。
そして厄介なのは、それが失われていることに、本人は長いあいだ気づきにくいという点でした。
上司自身が現場の実務を経験していなかったり、もう長いあいだプレイヤーとして手を動かしていなかったりすると、部下のアウトプットに対して、どうしてもこんな“感想レベル”のコメントになりがちです。
「うん、いいんじゃない?」
「とりあえずこれで出してみようか」
「なんか違和感あるけど、とにかく今日中に出そう」
一見、怒られないだけマシにも思えます。
でも、よく考えると 「どこがよくて、どこがダメなのか」 が一切わからない んですよね。
怒られないから大丈夫、という勘違いが成長を止める
私がまさにそうでした。
資料を持っていっても、「細かいところは任せるよ」と言われてそのまま通ってしまう。
そのときの私は、
「細かいところまで任されるなんて、信頼されている証拠だ」
と、本気で思い込んでいたんです。
今振り返ると、あれは上司が中身をチェックできていなかっただけだったのだろう、と冷静に感じます。
- どの論点が弱いのか
- どこを深掘りすべきだったのか
- 逆に、どこは削ってもよかったのか
本来なら上司から返ってくるはずの「プロとしての目線」が、一切返ってこない。
でも、怒られないからこそ、その欠落に気づかないまま時間だけが過ぎていくんですよね。
今思えば、あの頃の私は「怒られない=合格ラインを超えている」と解釈していました。
でも実態は、「誰も採点していないテスト」で勝手に合格点をつけていただけだったのかもしれません。
フィードバックがない職場ほど、自己流フォームが固まり修正がきかなくなる
この状態を、私はよくプロ野球選手の素振りにたとえます。
素振りをしても、フォームが崩れていても、誰も指摘してくれない。
打席に立ってたまたまヒットが出れば「ナイスバッティング」と言われ、三振しても「どんまい」で終わる。
一見、怒鳴られることもなく、ストレスが少なくて居心地がいい環境に見えます。
でも、その裏側では、
- フォームの癖はどんどん固まり
- 誤った打ち方が「自分のスタイル」として定着し
- 気づいたときには修正に大きなコストがかかる
という状態が、静かに進行していきます。
仕事もまったく同じだと思います。
- ロジックの詰めが甘くても、誰も突っ込んでこない
- 社内用語だらけの資料でも、「わかる人だけわかればいい」と流されてしまう
- スケジュールの見積もりが甘くても、「なんとか頑張ろう」で押し切られる
こうして、自己流の「変なフォーム」が、誰にも修正されないまま固まっていきます。
私自身も、「怒られない=ちゃんとできている」と勘違いしたまま、数年を過ごしてしまいました。
今振り返ると、あの期間こそが、いちばん成長が止まっていた“空白時間”だったと思います。
自己流の「変な癖」は、30代後半で一気に“キャリアの足かせ”になる
20代のうちは、多少自己流でもなんとかなります。
体力もありますし、周りも「若手だからこれから」と期待してくれる。
多少粗があっても、「伸びしろ」として解釈してもらえることが多いです。
でも、30代半ば以降になると、空気が変わってきます。
同じミスでも、「まあ若いからね」では済まされません。
「経験者なんですよね?」という前提で厳しく見られるようになります。
私自身、30代後半で社外プロジェクトに参加したとき、まさにここでつまずきました。
これまで社内では当たり前のように通っていた資料の作り方や段取りが、別の会社のメンバーからすると、
- 「論点があいまいで、何を決めたい資料なのかわかりにくいですね」
- 「この前提、うちの会社の人には伝わらないと思います」
といった評価だったんです。
そのとき、痛感したことがあります。
- ロジックの組み立てよりも、「上司の好み」に合わせた構成になっていた
- 社内でしか通用しない略語や前提知識を、無意識のうちに多用していた
- スケジュールや段取りも、「うちの会社の慣習」基準でしか考えていなかった
正直かなりショックでした。
「自分は中堅としてそこそこやれている」という感覚が、社内のローカルルールに最適化された“勘違い”だったとわかったからです。
そしてもっと怖かったのは、いざ直そうと決めても、その自己流の癖がすでに体に染みついていて、すぐには変えられないという事実でした。
- 資料を作ると、つい“いつもの構成”で並べてしまう
- 説明するときも、「社内でウケのよかった言い回し」をつい使ってしまう
- 指摘されても、「どこから直せばいいのか」がわからず固まってしまう
あのとき、私ははじめて理解しました。
フィードバックのない環境に長くいる = 自己流の変な癖が、誰にも修正されないまま固まっていくということを。
今の私は、これを「静かに進行するキャリアの病気」のようなものだと感じています。
だからこそ、同じようにモヤモヤしながら働いている方には、早めに“外の基準”に自分をさらしておくことを、そっとおすすめしたいです。
完璧に直す必要はありませんが、
「もしかして、自分のフォーム、少し崩れているかも?」
そう疑ってみるだけでも、将来のリスクはかなり変わってくると思います。
この経験が、同じような環境にいる方の小さなチェックポイントになればうれしいです。
- 「怒られない=できている」と思うと、成長の空白期間が生まれる。
→ フィードバックがないまま自己評価だけが上がり、弱点に気づく機会を失っていく。 - フィードバックの欠如は、「自己流フォーム」が固まる温床になる。
→ 上司の好みや社内ローカルルールに最適化されたやり方が染みつき、後から直そうとしても大きなエネルギーが必要になる。 - 30代後半になるほど、「自己流の癖」は一気にリスクとして表面化する。
→ 社外の基準で見られたときに、「雑さ」「論点のズレ」として一気に露呈し、中堅ゆえにシビアに評価されやすくなる。 - 「今のやり方は外でも通用するか?」と問い直すことが、静かな予防線になる。
→ 小さくても社外基準に触れる機会をつくることで、キャリアの病気を早期発見しやすくなる。
社内調整力レベル99・市場価値レベル1──「社内専用スキル」に偏った30代の悲劇

実務を知らない上司の下で頑張っていると、気づかないうちに 「社内でしか通用しないスキルセット」 がどんどん鍛えられていきます。
- 〇〇部長のご機嫌ななめのパターンを予測し、先回りして根回しする力
- 社内システムのバグを回避する“裏技”ショートカットキーを知り尽くしていること
- 「この順番で承認を回すと早い」「あの部署の誰に話を通せば揉めないか」を熟知していること
こうした能力は、もちろんゼロよりあったほうがいいです。
社内で成果を出すうえで、ある程度の調整力や「社内の地図」を持っていることは、間違いなく武器になります。
ただ、あとから振り返って一番ゾッとしたのは、その武器が「外に出た瞬間、ほぼゼロ評価になる」かもしれないという現実でした。
「社内専用スキル」ばかり鍛えても、転職市場ではほとんど評価されない
ある時期までの私は、社内調整のうまさに妙な自信を持っていました。
- どの順番で誰に話を通せば、承認がスムーズに降りるか
- どの上司の前では、どんな言葉を選べば機嫌を損ねずに済むか
- バグだらけの社内システムを、どう“裏技”で乗りこなすか
こうしたことを把握している自分に、どこか「頼られている感」を覚えていたんです。
実際、上司や同僚からも、
「この案件は、○○さんに間に入ってもらったほうが早い」
と言われることが増えていきました。
そのたびに、「自分はこの会社の中でちゃんと価値を出せている」と安心していたのですが、今振り返ると、その価値のほとんどが“社内限定ポイント”だったんですよね。
社内ゲームのルールを知り尽くしているからスムーズに進められているだけで、
ゲーム機(会社)が変わった瞬間に、そのポイントが全部リセットされる可能性には、正直まったく目を向けていませんでした。
この経験は外で通用するか?ポータブルスキルとのギャップを直視する
転職サイトや人材紹介の世界では、よく「ポータブルスキル(持ち運べる能力)」という言葉が出てきます。
これは、会社や業界が変わっても使えるスキルのことです。
たとえば、こんなものがポータブルスキルにあたります。
- 課題を発見し、仮説を立て、検証していく力(問題解決力)
- 相手の立場を理解しながら、合意形成に導くコミュニケーション力
- 数字をもとに状況を分析し、改善策を打つ力(論理的思考・分析力)
- チームをまとめ、目標達成まで導くマネジメント力
一方で、先ほど挙げたような
- 「〇〇部長の機嫌の取り方」
- 「自社システムの裏ワザ」
- 「あの部署の誰に話を回せば揉めないか」
といったスキルは、その会社を一歩出た瞬間に意味を失います。
頭ではなんとなく分かっていたはずなのに、自分ごととしては捉えていなかったんですよね。
「自分はちゃんと調整もしているし、周りも助けているし」と、社内世界の中だけで完結していたんだと思います。
「社内調整力99・市場価値1」に気づいた瞬間、見える現実
そんななかで、ある日ふと、自分のスキルをゲームのステータス画面のようにイメージしてみたことがあります。
- 社内調整力:99
- 自社システム知識:95
- 上司の機嫌予測:98
- 社外で通用する専門スキル:……?
- 転職市場で評価される実績:……?
正直、ここがスカスカでした。
目の前の仕事は回せるし、上司からも
「彼(彼女)に任せておけば大丈夫」
と言われる。
でも、それはあくまで 「この会社の、この部署」という超限定フィールドの話です。
一方で、転職エージェントのサイトや求人票を眺めると、こんな言葉が並んでいます。
- 「即戦力として事業をドライブしていただける方」
- 「自ら課題を設定し、周囲を巻き込みながら推進した経験」
- 「部下○名規模のマネジメント経験」
その文言を見て、背中にじわっと冷たいものが走りました。
「あれ、自分が普段頑張っている“社内調整”って、
この言葉に変換できるほどのものなんだろうか……?」
もちろん、社内調整の中にもポータブルスキルの要素は含まれているはずです。
関係者を巻き込んだり、反対意見を調整したりする経験は、きちんと整理すれば立派な強みになります。
ただ、問題なのはそこを 「言語化できるレベルまで整理していない」 こと。
そして何より、
「自分が持っているのは社内専用スキルかもしれない」
という危機感そのものが、かなり薄かったことでした。
あのとき、私ははじめて
- 「今の自分の強みは、会社の外に持ち出したときに、どれだけ残るのか?」
- 「このステータス画面の“空欄”を、このまま放置していていいのか?」
と真剣に考えるようになりました。
まだ完璧な答えは出せていませんが、この違和感に気づけたこと自体が、今思えば最初の小さなブレーキだった気がします。
同じように社内で奮闘している方が、「自分のステータス画面」を一度イメージしてみるきっかけになればうれしいです。
- 社内で評価される調整力は、「社内専用ポイント」になりがち。
→ 部長の機嫌取りや社内システムの裏ワザなどは、会社を一歩出た瞬間に評価ゼロになるリスクがある。 - 転職市場で評価されるのは、「どこでも使えるポータブルスキル」。
→ 課題発見力・論理的思考・マネジメントなど、会社が変わっても使える形にまで分解し、言語化しておく必要がある。 - 「社内調整力99・市場価値1」という状態は、本人が一番気づきにくい。
→ 目の前の仕事は回るし感謝もされるため、ステータス画面の“空欄”に目を向けるきっかけがなかなか生まれない。 - 自分の強みを「外に持ち出したら何が残るか?」と問うことが、最初の一歩になる。
→ 普段の社内調整の中にもポータブルスキルの要素はあるため、「どの経験をどう言い換えられるか」を意識して整理しておくことで、市場価値として評価されやすくなる。
気づいた時には手遅れ──転職市場にそびえる「35歳・40代の壁」

「とはいえ、まだこの会社でやれることはあるし……」
「転職なんて、40代になってから考えればいいかな」
正直、私もずっとそう思っていました。
上司への不満はあっても、
- 「まあ給料はちゃんと出てるし」
- 「同世代よりはマシかも」
と、自分に言い聞かせて、なんとか気持ちを落ち着かせていたところもあります。
そんなある日、夜の寝る前にスマホをいじりながら、なんとなくニュースアプリを眺めていました。
その中の「40代の転職事情」という特集記事を開いた瞬間、スーッと血の気が引く感覚がありました。
「あ、これ、自分も完全にこのラインに乗りつつあるな……」
そのときはまだ30代半ばでしたが、記事に出てくる数字やコメントが、妙に他人事と思えなかったんです。
データでわかる、転職市場の「35歳・40代の壁」
厚生労働省の統計や、転職サイト各社の公開データを見ていくと、35歳を境目に転職市場の空気がガラッと変わることがわかります。
- 有効求人倍率は、30代前半まではそこそこあるものの、40代に入ると一気に下がる
- 「未経験歓迎」の求人は、20代〜30代前半がメインターゲット
- 40代での転職は、「同業界・同職種での即戦力」か「マネジメント経験者」に求人が集中する
私が特にショックだったのは、「40代の未経験転職はかなりハードルが高い」という現実でした。
「今の仕事、そこまで好きじゃないし、40代で全然違う業界にチャレンジするのもアリかな」
そんなふうにぼんやり考えていた自分が、いかに楽観的だったかを思い知らされたんです。
実際に、転職エージェントの担当者にも、こんなことをはっきりと言われました。
「35歳を過ぎると、“ポテンシャル採用”ではなく
“これまで何をやってきて、これから何をしてくれるのか”がよりシビアに見られます」
要するに、「これまでのキャリアの積み上げ」が、そのまま未来の選択肢の広さに直結するということです。
その言葉を聞いたとき、頭の中によぎったのは、実務を知らない上司に合わせて過ごしてきたここ数年の自分でした。
- 「まあ、このレベルでいいか」と妥協した資料
- 「あの上司がそこまで求めてないから」と浅めにまとめた企画
- 「今の会社でだけ通用するやり方」に合わせ続けてきた日々
そのツケは、将来の自分が払うことになるんだと、ようやく現実味を持って突きつけられた気がしました。
上司に合わせていた時間は、あなたの人生のどこを削っていたのか
実務を知らない上司に振り回されているときって、どうしても目の前の感情に意識が向きがちです。
- 「なんでこんな指示の出し方しかできないんだ」
- 「なんで自分ばかり尻ぬぐいしなきゃいけないんだ」
- 「なんでちゃんと見てくれないんだ」
もちろん、その不満はもっともです。私も何度も同じことを思ってきました。
でも、少し冷静になって見つめ直すと、そこには一つの残酷な事実があります。
上司が無能でも、有能でも、
「あなたのキャリアの責任者」は、あなた自身でしかない。
上司に合わせて自分の基準を下げている時間は、会社のものではなく、あなたの人生の時間です。
その時間が積み上がるほど、「社外で使えるスキルを磨く機会」は、静かに失われていきます。
- 本来ならじっくり課題分析に使えたかもしれない夜を、上司の尻ぬぐいに使ってしまう
- 本当は新しい知識やスキルを学べたはずの休日を、「上司の無茶ぶり対応の疲れ」で寝て過ごしてしまう
その積み重ねは、1日・2日では大した差に見えません。
でも、5年・10年と経ったときに、「選べる働き方の数」という形で、大きな差になって表れてくるのだと思います。
上司を責めたい気持ちも、もちろんゼロにはなりません。
ただ、あのときの私は、「このまま不満を抱えたまま上司に合わせ続けること」が、自分の未来から少しずつ可能性を削っていることに気づいていませんでした。
もし今、同じような状況でモヤモヤしている方がいたら、
「この時間は、誰の人生のものなんだろう?」
と一度だけ立ち止まって考えてみてもらえたらうれしいです。
- 35歳を過ぎると、「ポテンシャル」ではなく「積み上げ」で判断される比重が一気に増える。
→ それまでのキャリアの中身が、そのまま40代以降の「選べる選択肢」の広さに直結してくる。 - 実務を知らない上司に合わせて基準を下げた時間のツケは、未来の自分が払うことになる。
→ 「まあこの程度でいいか」と妥協した日々は、社外で通用するスキルを磨く機会を静かに削っていく。 - 上司が有能か無能かにかかわらず、「キャリアの責任者」は自分自身。
→ 上司に合わせて消耗している時間は、会社のものではなく自分の人生の時間だと捉え直すことで、行動の優先順位が変わり始める。 - 「この時間は本当に、自分の未来につながっているか?」と問うことが、最初のブレーキになる。
→ すぐに転職しなくてもよく、まずは“上司起点”ではなく“自分の将来起点”で時間の使い方を見直すことからでも、少しずつ流れは変えられる。
今すぐ「自分の茹でガエル度」と市場価値を診断してみる

ここまで読んで、「正直、ちょっと怖くなってきた」と感じているかもしれません。
実は、私もまったく同じでした。数字や転職市場の話を知ったとき、最初に出てきた感情は“前向きさ”ではなく、冷や汗に近い恐怖だったんです。
スマホの画面を閉じてしまいたい気持ちもありましたが、それと同時に、心のどこかでこうも感じました。
「このまま何もしないほうが、もっと怖いかもしれない」
あのときの私は、すでに「ぬるま湯に慣れきった茹でガエル状態」に片足を突っ込んでいたのだと思います。
転職する気がなくても、「今の自分の市場価値と位置」だけは知っておく
ここで、ひとつだけはっきりさせておきたいことがあります。
それは、「今すぐ転職しろ」という話ではないということです。
私自身、気づいた瞬間に会社を飛び出したわけではありません。
むしろ、すぐに辞める勇気なんてまったくなかったですし、生活もあるので、現実的にも無理でした。
それでも、あのとき強く感じたのは、
「このまま“会社の物差し”だけで自分を測り続けるのは危ないかもしれない」
という感覚でした。
そこで私が最初にやったのは、「環境を変えること」ではなく、「今の自分の位置を知ること」でした。
具体的には、こんな小さなステップです。
- ミイダスのような市場価値診断ツールで、今の自分の想定年収レンジを見てみる
- リクナビNEXTに登録して、グッドポイント診断で自分の強みを言語化してみる
- 職務経歴書をざっくりでも書き出して、「語れる実績」がどれくらいあるか確認してみる
正直に言うと、最初はかなり怖かったです。
- 「もし想像よりもずっと低い評価が出たらどうしよう」
- 「自分には武器が何もないって突きつけられたら、立ち直れないかもしれない」
そんな不安が頭の中をぐるぐる回っていました。
でも、実際にやってみて、一番強く感じたのは、
「知らないままのほうが、よっぽど怖かったな」ということでした。
診断結果が思ったより高くても、低くても、それはそれで現実です。
少なくとも、
- 上司の評価に一喜一憂していた頃よりも
- 「社内での立ち位置」だけを気にしていた頃よりも
自分の“立ち位置マップ”が少しクリアになった感覚がありました。
そこからようやく、「じゃあ、この先どう動くか」を考え始められた気がします。
上司を恨む時間で、スマホから市場価値診断ボタンを押したほうが早い
実務を知らない上司にイライラしているとき、私たちはつい「上司を変えようとする方向」にエネルギーを使ってしまいがちです。
- もっと現場を見てほしい
- もっと自分の仕事を評価してほしい
- もっとまともな指示を出してほしい
その気持ちは、本当にもっともだと思います。
私も長いあいだ、「この人がちゃんとしてくれれば、自分の状況も良くなるはずだ」と信じていました。
でも、残念ながら、その期待はほとんどの場合裏切られます。
人はそう簡単には変わらないし、特に「自分が上にいる側」の人ほど、変わる必要性を感じにくいからです。
一方で、スマホで診断ボタンを押すのにかかる時間は、ほんの数分です。
同僚に上司の愚痴をLINEで長文送る時間があるなら、そのうちの数分を「自分の市場価値を知る時間」に振り替えるほうが、後から振り返って確実にリターンが大きいと、今の私は感じています。
- 上司を変えることはできない
- 会社の人事制度も、すぐには変えられない
でも、「上司に振り回されっぱなしの自分」から、「状況を俯瞰して動き始める自分」には変われるはずです。
そのための一歩として、まずはスマホ一つでできる、「今の自分の茹でガエル度」をそっと診断してみてほしいのです。
完璧な準備や、大きな決断はまだいりません。
「怖いけれど、現実を一度だけ直視してみる」──その小さな行動が、後から振り返ると、茹でガエル状態から抜け出すための最初の一歩だったと感じるかもしれません。
この経験が、同じように上司に振り回されながらも、どこかで将来が不安な方の小さなヒントになればうれしいです。
- 「ちょっと怖い」と感じる感覚は、茹でガエル状態に気づいたサイン。
→ 不安を押し込めるのではなく、「今のままで本当に大丈夫か」を見直すきっかけとして受け止めたほうが、自分を守りやすくなる。 - 転職する気がなくても、「今の自分の位置」を知っておくことに意味がある。
→ 市場価値診断や転職サイトの登録、職務経歴書の棚卸しを通じて、社内評価とは別の物差しで自分を測ることで、選べる未来の幅が見えてくる。 - 「知らないまま」の安心感は、あとから効いてくるリスクになりやすい。
→ 診断結果が高くても低くても、それは現実のスタート地点であり、早く知るほど軌道修正のチャンスが増える。 - 上司を恨むより、数分でできる診断ボタンを押すほうがリターンは大きい。
→ 上司は変えられなくても、「上司に振り回されずに動ける自分」には変われるので、その第一歩として自分の“茹でガエル度”を見える化しておく。
上司や会社の評価だけを物差しにしていると、自分の市場価値の「本当の温度」が見えにくくなります。
とはいえ、いきなり転職活動までは踏み出せない…という気持ちも、すごくよく分かります。
だからこそまずは、今の自分が「どんな強みを持った人間なのか」を、外の基準で一度見てみるのがおすすめです。
私自身、そのきっかけになったのが、リクナビNEXTの「グッドポイント診断」でした。
まとめ|未来の自分を守るのは、今この数分の「市場価値チェック」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
最後に、この記事でお伝えしたかったことを、私自身の反省も含めて整理させてください。
「今のまま」でい続けるほど、静かにキャリアの選択肢は削られていく
実務を知らない上司の下では、十分なフィードバックが得られず、自己流の癖が固まったまま何年も進んでしまう。
その結果、
- 社内調整力や社内システムの裏ワザばかり鍛えられ、「社内専用スキル」だらけの危うい状態になりやすい
- 35歳・40代の転職市場では、「これまで何をしてきたか」がシビアに問われ、未経験分野への転職ハードルは想像以上に高い
- 上司に合わせて自分の基準を下げていた時間のツケは、将来の自分が“選べる選択肢の少なさ”として払うことになる
という現実があります。
もし今、心のどこかで、
「この上司の下で、このまま年齢だけ重ねて大丈夫なんだろうか」
「社外に出たら、自分は通用しないんじゃないか」
と不安を感じているとしたら、それは感覚がまだ鈍っていないサインだと思います。
本当に危ないのは、不安すら感じなくなったときです。
「まあ、なんとかなるでしょ」「ここにいるほうが楽だし」と自分に言い聞かせ続けているうちに、気づけば選べる選択肢がすっかり減ってしまう──。
私自身、「もっと早く自分の市場価値を確認しておけばよかった」と何度も思いました。
だからこそ、この記事を読んでくれたあなたには、同じ後悔をしてほしくありません。
今できる、たった2つの「市場価値を守る」具体的アクション
転職するかどうかは、今決めなくて大丈夫です。
ただ、「外の世界の温度」と「今の自分の立ち位置」だけは早めに知っておくと、あとで効いてくると感じています。
そのための小さな一歩として、今できるアクションを2つだけ挙げます。
- リクナビNEXTに登録して、グッドポイント診断で自分の強みを言語化してみる
自分ではうまく説明しづらい強みを、客観的な言葉で可視化してくれます。
あとから職務経歴書を書き足すときや、面談・評価面談で「何をアピールするか」を整理する土台にもなり、自己紹介や志望動機にもそのまま活かしやすくなります。 - リクナビNEXTの職務経歴書作成ツールで、ひな形だけでも埋めてみる
フォーマットに沿って入力していくだけで、「これまでどんな仕事をしてきたか」「どんな成果と言えそうか」が自然と整理されます。
実際に書き出してみると、「意外と書けない部分」や「数字で語れていない実績」が見えてきて、今後どこを意識して積み上げるべきかがクリアになります。
どちらも、スマホさえあれば通勤電車の中や、寝る前の10分で始められます。
一度登録しておけば、スカウトメールや求人情報を通じて、「自分の市場価値の変化」を定期的にチェックする“外の温度計”にもなります。
上司は選べないかもしれませんが、
「これからの自分のキャリア」に対する選択権は、まだあなたの手の中にあります。
その選択権を手放さないためにも──。
まずは、今日のうちにどちらか一つ、試してみてください。
それだけでも、「茹でガエル状態」から半歩抜け出すきっかけになるはずです。
このまとめが、未来の自分を少しでも守る行動につながればうれしいです。
不安なのに、何もせずに年齢だけ重ねていくのが、一番リスクが大きいと今では感じています。
とはいえ、「いきなり転職サイトに登録するのはちょっと抵抗がある…」という方も多いはずです。
そこでまずは、転職する・しないは置いておいて、「自分の強み」と「市場での立ち位置」を知るための準備だけしておきませんか?
リクナビNEXTなら、登録だけでもグッドポイント診断やスカウト機能を、こっそり自分のペースで使えます。









