実務を知らない上司に「現場の苦労」を説くのは無駄だった。私が評価を損切りし、都合のいい便利屋を卒業した記録

「……それ、物理的に無理なんですけど」
喉元まで出かかった言葉を、ため息と一緒に飲み込みました。
実際の作業量も、他部署との面倒な調整も、1ミリも理解していない上司から降ってくる「ファンタジーな指示」。
「これ、パパッと適当にやっておいて」「そんなに時間かからないよね?」といった、現場を知らない上司の無責任な一言。
エクセルに数字を入れるだけで勝手に資料が完成すると思っているような、実務の素人であるあの人の頭の中では、私の仕事はボタン一つで終わる魔法か何かだと思われているようでした。
私がどれだけ汗をかき、見えないところで走り回っても、その労力が正当に報われることはありませんでした。
なぜなら、あの人には現場のリアルを知ろうとする気がまったくないからです。
それどころか、表面的な数字だけを見て「自分は現場をわかっている」と勘違いすらしている。
そんな人が、私たちの泥臭い苦労を正しく評価できるわけがないのです。
評価されるために尽力したところで、「この人は何でもすぐやってくれる便利屋だ」と都合よく勘違いされ、ただ私の仕事量が増えて首を絞めるだけ。
最初は、話し合えばわかってくれると信じていました。
ビジネス書に書いてあるように、丁寧に説明すれば状況は変わると思っていたのです。
しかし、それは大きな間違いでした。
これは、実務を知らない上司に「わかってもらう」ことを諦め、自分の身を守るために冷徹な線引きを始めた、ある日の記録です。
「私の努力不足」ではなかった。あの人に私の仕事を測る物差しなんて、最初からなかった
「これ、明日までにできるよね?」
その一言には、実際の作業量への想像力が1ミリもこもっていない絶望が詰まっていました。
実務の素人である上司にとって、私の苦労は常に「簡単に終わる作業」に変換されます。
裏側でどれだけのデータをかき集め、他部署に頭を下げて確認を取り、どんな面倒なミスが起こり得るか。
そういった泥臭い現実を、上司は一切知らないのです。
かつての私は、そんな上司に対して「いつか私の努力を理解してくれるはずだ」と期待していました。
しかし、ある日ふと気づいたのです。
まるで別の言語を話す生き物のように、あの人には私の仕事の価値を測る物差しなど、最初から存在しないという残酷な事実に。
そもそもあの人は、現場の泥臭い実務を「知ろうとする気」すらなかったのです。
「細かいことは部下がやるものだ」「自分は数字だけ見ていれば現場を管理できている」と本気で勘違いしている。
最初から現場の苦労を知ろうともしない人間に、いくら必死にアピールしても無駄なのです。
私が評価されないのは「私の能力が低い」からではなく、上司が「正しく評価する気すらない(わかったつもりでいるだけ)」から。
そんな人間に自分の評価を委ね、一喜一憂していた自分が心底バカバカしくなりました。
「もう、この人に何を期待しても無駄だ」。そうやって完全に心が冷めきった瞬間でした。
なぜ「説明」すればするほど首が絞まるのか?正論で自分をすり減らした3つの記録
世間でよく言われる「上司にはホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしっかりしろ」「期待を超える成果を出せ」というアドバイス。
あれは相手が『まともな上司』である場合の話です。
実務を知らない上司にそれをやるとどうなるか。
見事に自爆した私の3つの失敗例を紹介します。
①「今の作業量をリスト化」して見せたら、逆に細かく詰められるようになった
「これだけ仕事を抱えてますよ」と分かってもらうために、作業リストを作って上司に見せました。
状況を可視化すれば、上司が「大変そうだね」と配慮してくれると考えたからです。
しかし、これが最悪の裏目に出ました。
実務を知らない上司にとって、そのリストは私の苦労を測る物差しではなく、「サボりを見つけるためのチェックリスト」に成り下がったのです。
「なぜこの作業に3時間もかかるの?俺なら10分で終わるよ」という的外れなダメ出し。
自分の負担を減らすためのリストが、逆に自分を追い詰める道具になってしまいました。
②期待値を超えようとした結果、際限なく要求してくる「搾取者」に育てた失敗
評価されたい一心で、上司の指示以上の成果を出そうと奮闘した時期もありました。
頼まれた資料に詳細な分析を加え、期日よりも前に提出する。
しかし、良かれと思って120点のクオリティで早く出すと、実務の素人である上司の中ではそれが「次からの基準(100点)」になってしまいます。
「私が優秀だから早く終わった」のではなく「この仕事はそれくらい簡単なものだ(楽勝じゃん)」と変換されるのです。
結果として、「次からはこれも追加でよろしく」「もっと早くできるよね」と、次々と仕事量が倍増していきました。
私の善意と努力は、上司を際限なく要求してくるだけの「搾取者」に育て上げる肥料でしかなかったのです。
③「できない」と言わずに尻拭いを続けた、地獄のセルフ罰ゲーム
上司の適当な指示のせいで発生した他部署とのトラブルも、私は「できません」と言うのが嫌で、裏で各所に頭を下げてこっそり解決していました。
先回りしてリスクを潰すのが、優秀なビジネスパーソンだと思っていたからです。
しかし、私が必死に火消しをして事態を収拾しても、上司は「ほら、やっぱり俺の言った通りだっただろ?」とドヤ顔で大勘違いするだけでした。
私が必死に埋めた落とし穴の存在にすら気づかず、また新たなファンタジーな指示を飛ばしてくる。
それは、終わりのない徒労感に苛れる地獄のセルフ罰ゲームでした。
「評価されたい」という未練を捨てて、あえて「言われたことしかやらない」と決めた
「実務を知らないあの人に、私の仕事を正しく評価できるわけがない」。
その冷徹な事実に腹の底から納得した瞬間、私は評価を追うのをやめました。
この上司の下で必死に120%頑張ったところで、給料が倍になるわけでもないし、ボーナスが何十万も増えるわけでもない。
「気が利く優秀な部下」を演じて自分のプライベートや体力を削るのは、ただの「都合のいい無償ボランティア」だと気づいたからです。
どうせ正当に評価されないなら、自分の時間とメンタルを守った方が100倍マシです。
私は、あえて「上司の指示通り」にだけ動くことにしました。
「この指示のままだと、絶対に後で他部署からクレームが来るな」と分かっていても、上司が「このまま進めて」と言うならそのまま流すことにしました。
案の定トラブルが起きても、「指示通りにやりましたが、何か問題がありましたか?」と淡々と応じる勇気を持ちました。
相手を変える努力を完全に捨て、冷徹に「給料分(100%)」だけをこなし、定時が来れば心のシャッターを下ろす。
それは、上司を変えようとする無駄な努力をやめ、会社という理不尽な場所で自分が潰れないために選んだ「究極の省エネモード(防衛策)」でした。
しかし「上手な断り方」を知らなければ、結局また「都合のいい人」に逆戻りするだけだった
心の中では「もうやらない、給料分しか働かない」と決意しました。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
心でシャッターを下ろしても、物理的に降ってくる無茶なタスクは消えないからです。
いざ目の前で上司に「これお願い」と言われると、結局断りきれずに引き受けてしまう。
「気にしない」と思い込もうとしても、目の前に積まれた仕事は誰かがやらないと終わらない。
精神的な見切りだけでは、自分の身は守れないことに気づいたのです。
「ムリです」とキレて職場で浮くのは嫌だ。
かといって、笑顔で引き受けたら自分がパンクする。
職場の空気を壊さずに、実務を知らない上司からの的外れな無茶振りをどうやってスルーするか。
自分を汚さず、静かに境界線を引く。
その具体的な方法を知らなければ、結局はまた都合よく搾取され続けるという現実的な恐怖が、常に私につきまとっていました。
必要なのは、心の中で唱えるだけの「気合い」や「自己暗示」ではありません。
上司の思いつきをサラリと受け流し、したたかにやり過ごすための、具体的な『スルー技術』が必要だったのです。
どう振る舞えば、この堂々巡りの日々から本当に抜け出せるのか。
私は自分を守るための「上手なスルーのやり方」がどうしても必要でした。
そして、何度も失敗しながら試行錯誤する中で、ようやく一つの「答え」を見つけたのです。
もう「都合のいい便利屋」で消耗しない。私を救った『したたかなスルー技術』
実務を知らない上司の下でいくら汗を流しても、「正当な評価」という報酬は一生得られない。
良かれと思って先回りすると、それが「次からの当たり前(ノルマ)」になって自分の首を絞めるだけでした。
私に必要なのは、話の通じない上司を説得することではなく、上司のムチャ振りを角を立てずに「受け流す」手順でした。
罪悪感を捨てて冷徹に境界線を引き、自分の平穏だけを死守するための具体的な立ち振る舞いです。
私が「都合のいい尻拭い要員」を卒業し、定時で帰る平穏な日常を取り戻すために使った、明日からすぐ使える『線引き(スルー)』の全貌を、次の記事にまとめておきます。
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