「静かな退職」でクビになるのが怖かった私へ。評価は下げても“居場所”は失わない、30代で見つけた「安全な低空飛行」の技術

「定時で帰る」と決めた最初の夜。
上司の背中に向かって「お先に失礼します」と言った瞬間、心臓が早鐘を打っていたのを覚えています。
「あいつはやる気がない、と見限られたらどうしよう」
「明日、席がなくなっていたらどうしよう」
そんな馬鹿げた妄想をしてしまうほど、私は会社という組織に、そして上司の評価に怯えていました。
これまで「期待に応えること」でしか、自分の居場所を確認できなかったからです。
ネットで検索すると「静かな退職 末路」「クビ」といった不穏な言葉が並びます。
確かに、やり方を間違えて「扱いにくいお荷物社員」になり、居心地が悪くなって辞めていった人を、私は何人も見てきました。
でも、数々の失敗を経て、私は気づいたのです。
「静かな退職」と「職務怠慢」の間には、明確な境界線があることに。
このラインさえ踏み越えなければ、私たちはそう簡単に排除されません。
むしろ、評価は下がっても「穏やかな居場所」を確保し続けることは十分に可能です。
この記事では、私が冷や汗をかきながら見極めた「絶対に踏んではいけない3つのレッドライン」と、波風を立てずに低空飛行を続けるために身につけた「守りの技術」について、自戒を込めてお話しします。
墜落せず、高くも飛ばず。
一番心地よい高度で飛び続けるための、私の小さな生存記録です。
「静かな退職」で失敗する人が踏んでいる地雷

「クビになるのが怖い」
そう思っていた私が、職場で孤立していく同僚を見て気づいたことがあります。
組織が人を排除したくなる理由は、「能力」ではないのかもしれません。
一番のリスクは「不機嫌」になることだと気づいた日
かつて私は、上司の曖昧な指示にイライラし、それを態度に出して孤立してしまったという痛い失敗をしました。
私の隣の席に、仕事はできるけれど評価されない先輩がいました。
彼は上司の曖昧な指示に対して、常に眉間に皺を寄せ、「で、結論は何ですか?」と詰め寄っていました。
私も心の中では彼に同意していました。
「なんで私たちが察しなきゃいけないんだ」と、不機嫌を共有していたのです。
でも、結果どうなったか。
彼は「扱いにくい人」のレッテルを貼られ、重要な情報が回ってこなくなり、居心地が悪くなって辞めていきました。
一方、能力は平凡でも、ニコニコして「わかりました(わかっていない)」と言っていた同僚は、可愛がられ続けました。
その時、ハッとしたのです。
「不機嫌は、組織において最大のコストなんだ」
私は能力で勝負しようとしていましたが、間違っていました。
「静かな退職」をするなら、なおさら「愛想」というタダで使える潤滑油をケチってはいけなかったのです。
そこで私は心を入れ替え、仕事を断る時ほど「申し訳なさそうな顔」を作り、挨拶だけは誰よりも元気にする「俳優」になったのです。
日本の会社で「クビ」になるハードルは異常に高い
私は評価が下がることを極端に恐れていましたが、実際に下げてみたら、何も起きなかったのです。
実際に私が「B評価(標準)」から意図的にパフォーマンスを落とした時、上司から何と言われたと思いますか?
怒号が飛ぶと覚悟していました。
「最近、少しお疲れ気味かな? ペースを落としてもいいから、体調第一でやってくれ」
拍子抜けしました。
解雇通告どころか、心配されたのです。
給与は査定で数千円下がりましたが、生活には何の影響もありませんでした。
私が勝手に「完璧でなければ捨てられる」と思い込んでいただけだったのです。
日本の会社は、毎日真面目に来ている社員を、単に「バリバリ働かなくなったから」という理由だけで解雇することはできません。
その「構造的な守り」に気づいてから、過剰な恐怖は消えました。
これだけは守れ。生存率を100%にする「3つの防衛ライン」

とはいえ、何をしても許されるわけではありません。
「クビにはならない」と高を括って失敗しかけた私が、今では死守している「3つの防衛ライン」があります。
【勤怠】遅刻と欠勤だけは、どんな成果よりも重い
かつての私は、「成果を出せば時間は自由」と勘違いし、ルーズな出社を続けて信用を失いかけたことがあります。
「やることはやってるんだから、5分くらいの遅刻はいいだろう」
そんな傲慢な考えを持っていた時期がありました。
しかし、上司の目は冷ややかでした。
成果(主観的な評価)よりも、勤怠(客観的な事実)の方が、管理職にとっては「管理不行き届き」を問われる重大事項だったのです。
私は、自分の身を守るための鎧をつけ間違えていました。
どんなにやる気がなくても、始業5分前(9:00始業なら8:55)には必ず席に着く。
これだけで、「あいつは真面目に来ている」という事実は揺るぎないものになります。
今は毎朝の5分前着席を「聖域」とし、そこだけは誰にも文句を言わせない鉄壁のアリバイにしています。
【レスポンス】「即レス」こそが、稼働のアリバイになる
以前は、中身のある仕事をしようと悩みすぎてレスが遅れ、逆に「サボっている」と誤解されてしまうことがありました。
上司からのチャットに、どう返そうか考えているうちに1時間が経過。
「おーい、見てる?」と催促が来て、冷や汗をかいたことがあります。
私は「ちゃんと考えてから返したかった」だけなのに、相手には「無視(サボり)」と映っていたのです。
それ以来、私は戦い方を変えました。
内容はなくていい。スピードで圧倒するのです。
「確認します」「承知しました」「ありがとうございます」
この3つを、0.5秒で反射的に返す。
これだけで、上司の脳内には「あいつはPCの前に張り付いて仕事をしている」というイメージが刷り込まれます。
そのため、チャットの通知には条件反射でスタンプを返すようにしました。中身を考えるのは、その後でいいと割り切ったのです。
【納期】60点の出来でいいから、絶対に遅れない
過去には、クオリティにこだわりすぎて納期に遅れ、「仕事が遅い」というレッテルを貼られてしまったこともあります。
「静かな退職」において、最も捨てていいのは「クオリティ(質)」です。
逆に、絶対に守らなければならないのが「期限(納期)」です。
かつての私は、100点を目指してこだわり、納期ギリギリまで粘っていました。
しかし、上司が求めていたのは「完璧な資料」ではなく、「会議に間に合う資料」でした。
私のこだわりは、自己満足に過ぎなかったのです。
今は、60点の出来でもいいから、締切の数時間前には提出します。
不思議なことに、100点を目指して遅れるよりも、60点で早く出す方が、上司の心象は良いのです。
「早めにアウトプットを出してくれた」という事実が評価され、多少の修正があっても「じゃあ直しておいて」で済みます。
今は「とりあえずの60点」を最速で出すことをゴールにし、修正は上司の指示に従うスタイルに変えました。
今日の私は大丈夫?「静かな退職」安全確認チェックリスト
不安になったら、このリストを確認してください。これらが「YES」なら、あなたは法的に守られた安全圏にいます。
- [ ] 始業5分前にはPCを開いて着席していた
- [ ] 上司からのチャットに、即座にスタンプか返信をした
- [ ] 納期を破った案件は一つもない
- [ ] 挨拶や会話は笑顔で行った(不機嫌になっていない)
- [ ] 退勤時、「お先に失礼します」と堂々と言えた
全てチェックがつきましたか?
なら、今日のあなたは100点満点です。胸を張って帰宅し、ビールでも飲みましょう。
もし「窓際」に行けと言われたら?それは「勝ち確」のサイン

「でも、そんな働き方をしていたら、窓際部署に追いやられるのでは?」
この恐怖心とも、私は長く戦ってきました。
出世コースから外れることは「罰」ではなく「ご褒美」
同期が出世していく中、ルーチンワーク担当になった自分が惨めに思えた時期もありました。
正直にお話しします。
同期が課長や部長に昇進していく中で、私が責任の軽いポジションになった時、胸がチクリとしました。
「負けたんだな」と思いました。
社内の評価軸だけで生きていた私にとって、それは「罰ゲーム」のように感じられたのです。
でも、その感情は一瞬でした。
彼らが深夜まで予算会議や部下のトラブル対応に追われている間、私は定時で帰り、家族と夕食を食べ、趣味の映画を見ています。
ふと我に返りました。
「あれ? 私のほうが、人間らしい生活をしていないか?」
社内のプライドさえ捨てれば、そこは「時間富豪」の指定席です。
左遷や窓際は、会社が与えてくれる「アーリーリタイア体験版」だと思って、ありがたく享受すればよかったのです。
そこで私は、社内の「出世すごろく」から降り、自分の人生の時間を最大化するゲームに乗り換えることにしたのです。
評価におびえないための「外部の物差し」
それでも不安なら、社内の評価に一喜一憂するのをやめ、外の世界に自分の価値を問いかけてみてください。
それでも、社内の評価が下がり続けることに恐怖を感じるなら、それはあなたの「評価軸」が会社の中にしかないからです。
私が社内で「C評価」をつけられた日、家に帰ってすぐに転職サイトを開きました。
そこには、今の年収とほぼ変わらない条件のオファーが届いていました。
「なんだ、この会社でダメでも、他があるじゃん」
その瞬間、上司の評価なんて、世界のほんの一部でしかないことに気づいて笑えてきました。
「外部の物差し(市場価値)」を持っていれば、社内の評価に一喜一憂する必要はなくなります。
※私が罪悪感を乗り越えたマインドセットの話は、こちらで詳しく書いています。
まとめ:安全装置(セーフティネット)があれば、低空飛行は怖くない
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ここまで、私が失敗から学んだ「身を守る術」をお話ししました。
- 不機嫌にならず、愛想よく振る舞うこと。
- 勤怠・レスポンス・納期という「契約」だけは死守すること。
- 窓際は「時間富豪」の席だと心得ること。
これらを守っている限り、日本の会社という組織は、驚くほど私たちを守ってくれます。
上司を責める必要も、自分を責める必要もありません。
ただ、仕組みを理解して、淡々と利用させてもらえばいいのです。
【コピペOK】もし上司に「最近、やる気ない?」と聞かれたら
どれだけ防衛線を張っていても、勘のいい上司なら変化に気づくかもしれません。
そんな時、絶対に言ってはいけないのが「やる気はあります!」(嘘になる)や「実は静かな退職を…」(自白)です。
この台本を使って、「前向きなペースダウン」にすり替えてください。
- パターンA:体調を理由にする(最強のカード)
- 「実は以前、少し無理をして体調を崩しかけたことがありまして。長く安定して貢献し続けるために、今は意識的にペースを調整して『持続可能』な働き方に切り替えています。」
- パターンB:効率化を理由にする
- 「ご心配おかけしてすみません。実は今、残業時間の削減を個人目標にしておりまして、限られた時間で成果を出すために、業務の優先順位を厳しめにつけております。」
これなら、上司は「なら仕方ない(むしろ良いことだ)」と納得せざるを得ません。
定時で帰るようになって、私が手に入れたもの
以前の私は、日曜日の夜になると「また一週間が始まる」と胃が痛くなっていました。
でも今は違います。
「明日は定時で上がって、見たかった映画を見よう」
「帰りに、新しい本屋に寄ってみよう」
そんなふうに、平日の夜に「自分の人生」の予定を入れられるようになりました。
もし、「時間ができたけど、何をすればいいかわからない」という時は、読書で新しい世界に触れてみてください。
私は Kindle Unlimited で、ビジネス書から小説まで気になった本を片っ端から読んでいます。
会社以外の価値観に触れることは、「この会社だけが全てじゃない」という感覚を、より強固にしてくれます。
会社のためにすり減らしていたエネルギーを、自分のために使える。
たったそれだけのことで、あれほど嫌いだった月曜日が、少しだけ怖くなくなったのです。
この「手触りのある幸せ」こそが、私が静かな退職で勝ち取った最大の成果かもしれません。
(※30日間無料です。無料期間中に解約すれば料金はかかりません)
最後の恐怖を消すための、命綱
それでもまだ、心のどこかに「万が一」の不安が残っているなら。
それは、あなたがこの飛行機(今の会社)にしか乗れないと思っているからです。
パラシュートを持っていれば、飛行機が揺れても怖くありません。
会社員にとってのパラシュート、それが「転職サイトへの登録」です。
これは「転職するため」のものではありません。「上司への恐怖心を消すための精神安定剤」です。
実際に登録してリクナビNEXTのスカウトメールを見ると、不思議な現象が起きます。
上司に嫌味を言われても、「まあ、私には御社以外にも行き場所があるんで」と心の中で言い返せるようになるのです。
この「精神的優位」さえあれば、どんな理不尽もサラリと受け流せるようになります。
ルールを守り、パラシュートを背負って、堂々と低空飛行を楽しんでください。
この私の失敗談が、同じように「怖がり」なあなたの心を、少しでも軽くするヒントになれば嬉しいです。

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