- 有名企業ではどんな会議をしているの?
- いろんな会議のルールを知りたい
- 良い会議、すごい会議のルールを知りたい
このような疑問にお答えします。
本記事の内容
- 有名企業の会議ルールの事例を紹介します
- 良い会議、すごい会議のお手本を紹介します
- 自分が主催する会議に取り入れることもできます
より生産的な会議にするため、多くの企業が会議の無駄を省いたりして効率化を進めています。
いろんな会社のいろんな工夫を知っておくと、あなたが開催する会議に取り入れることもできるようになるのですね。
今回はそんな『良い会議・すごい会議を行っている有名企業の会議のルール』を紹介していきたいと思います。
良い会議・すごい会議を行っている有名企業
今回ご紹介するのは下記の5社になります。
- Google(グーグル)
- Apple(アップル)
- Amazon(アマゾン)
- トヨタ自動車
- 日産自動車
それでは順にみていきましょう。
Google(グーグル)の会議
Googleの会議はとてもシンプルで合理的なルールにしています。
意思決定を会議まで待たないようにする
会議のセッティングには参加者のスケジュール調整が必要になります。
そのため、意思決定をわざわざ会議までに待っていては決定が遅くなり、決定待ちによる時間の無駄が生まれます。
Googleでは、会議を待たずに決定できることはどんどん決めるのが大前提のうえで、意思決定のために議論が必要なときに会議をセットするという考えです。
単なる意思決定のためだけに会議を開くのではなく、とにかくスピーディーな意思決定をすることに重きをおいているのですね。
会議の規模を大きくしない
会議の参加者を本当に必要な人だけにして規模を大きくしないようにしています。
いたずらに参加者が多いと、意欲的なメンバーでも議論の質が低下するからなのですね。
そのためGoogleでは会議の参加者を最大8名としています。
その代わり、会議の結果が有益になるであろうメンバーには速やかに議事録を共有するようにしています。
会議の意思決定者を明確にする
会議の意思決定者を明確にして参加者と認識を合わせます。
そうすることで「何も決まらない会議」になることを防ぎ、会議の目的を必ず達成させるようにしているのですね。
また、「会議の意思決定者=会議の主催者」というルールになっています。
主催者の役割は次のとおりです。
- 会議の目的を設定する
- 目的に沿った参加者を決める
- アジェンダを作成して参加者へ事前送付する(24時間より前)
- 会議の最後に決まったことを取りまとめる
- 会議の決定事項とアクションプランを関係者に伝える(48時間以内)
生産性の高い会議を開くことが主催者には求められているのですね。
データに基づいた議論をする
事実や根拠、客観性を重視した議論を行うため、データに基づいて議論を行います。
これは、根拠のない主張が声の大きい人によって通ってしまうことや、主観によるあいまいな議論を避けるためなのですね。
短い時間の会議も設定OK
Googleでは5分や10分単位の会議もOKとされていて、スケジュール登録されます。
ちょっとした隙間時間を有効に使えるようにすることで、忙しい管理職でも時間の融通がききやすくなります。
意思決定者が多忙でスケジュールの調整がつかずに意思決定が遅れることは、とても非効率です。
隙間時間の会議設定をOKにすることで速やかな意思決定を可能にして、仕事の進め方も効率化しているのですね。
議題ごとに分解した会議を設定する
議題が多いと会議の所要時間も長くなってしまいます。
そのような場合は、議題ごとに分解した会議を設定しています。
そうすることで
- 会議の時間が長くならない(拘束される時間が短くなる)
- 参加者は一つひとつの議題に集中できる
- 議題ごとに必要なメンバーを揃えることができる
このような効率化を図っているのですね。
会議には大きなタイマーを使用する
参加者全員に「時間の経過」を意識させるために、誰もが見える大きなタイマーを設置しています。
タイマーがない場合はプロジェクターでタイマーを投影しています。
大きなタイマーを使い参加者全員の視界に入るようにすることで、時間の経過を意識した議論をしてもらうようにします。
参加者全員が時間を意識することで、時間内に会議の目的を達成させようという動きになるのですね。
Apple(アップル)の会議
Appleの会議はイノベーションの場とされています。
会議の参加者には
- 議論を戦わせる
- 全員で力を合わせる
- 必ず会議の目的を達成する
このようなことが求められます。
顔合わせやコミュニケーションの場とするような考えは許されないのですね。
会議の参加人数をできるだけ少なくする
Appleの会議は会議の参加者を限定します。
会議の参加人数が多くなると様々な意見が交錯して議論が錯綜してしまい、よい結論にたどり着けないという考えからなのですね。
参加する理由のあるメンバーだけを参加させる
ここでの「参加する理由のあるメンバー」とは「関係者」ではなく「当事者」のことをいいます。
本当に必要なメンバーのみで徹底的に議論することで、よりよい結論を出すようにしています。
また、議論の最中でも、会議に必要ないと判断されたメンバーは、容赦なく退席させられてしまうのですね。
会議での決定事項には必ず責任者も決める
会議の終わりには必ずその会議で決まったことを確認します。
そのときに、決定事項に必ず「責任者」も決めます。
その責任者は DRI(Directly Responsible Individual:直接の責任者)と呼ばれます。
会議を行った結果として必ずアクションプランが立てられ、その各アクションプランにDRIを必ず決めます。
会議後はDRIがアクションプランの進捗に責任を持ち、次の会議で状況を報告することになっています。
責任者を決めることで、会議で決まったことがきちんと実行されるように工夫しているのですね。
Amazon(アマゾン)の会議
Amazonでは『複雑に思考し、シンプルに発言せよ』という考えが重要視されています。
シンプルに発言するには十分な準備が必要です。
なので会議の準備が大切になるのですね。
Amazonの会議は沈黙から始まる
会議の冒頭に参加者が会議資料を黙読する時間をとります。
これには次にような理由があります。
- 参加者全員で会議の目的の認識を合わせる
- 議論に必要な情報を揃える
- 参加者全員が同じスタートラインに立ち議論に集中できるようにする
- 資料を読み上げるのは時間の無駄。各自で黙読したほうが効率がよい
いきなり議論を始めるのではなく、十分な準備をしたうで議論に入るようにしているのですね。
会議の資料にパワーポイントは使用禁止
「パワーポイントはあくまでもプレゼンテーション用のツールであり、プランニングの道具ではない」という考えで、主に次のような理由から使用が禁止されています。
- ソフトの使い方の巧拙によって、「プレゼンのよさ」と「提案内容のよさ」が曖昧になる
- アニメーションなどの機能を使用するのは時間の無駄
- 箇条書きは禁止。何が言いたいのか言葉が足りない
そのため、会議資料は全て「文章形式」で作成することがルールとなっているのですね。
トヨタ自動車の会議
トヨタ自動車と言えば品質と合理性を徹底的に追求する企業というイメージが強いかもしれませんが、「本音で語り合う」ということをとても大切にしています。
数値の話ばかりだったり、効率ばかりを求めるのではなく、本音で議論できるような工夫をしているのですね。
本音で話すための会場作り
会議は上座や下座のない円卓で行います。
そうすることで、対等な立場で本音で議論しあえる環境を作っています。
こういった形から入るのも大切ということなのですね。
議題を事前に決めない
セオリーとは真逆で、議題を事前に決めないルールになっています。
これは会議のマンネリ化を防ぐためだそうです。
緊急の課題以外は事前に議題を決めずに、参加者が議題をもちよって、その場で議論することを決めます。
議論の進め方も、あえて議長や進行役を決めずに、フリートーク形式です。
重苦しい雰囲気にならないようにして、本音で議論できるようにするための工夫なのですね。
会議に資料を持ち込まない
なんと資料の持ち込みが禁止されています。
資料があることで議論の方向性が決まってしまい、自由な意見交換の妨げになるという考えなのですね。
あくまで「本音で語り合う」ことを徹底しています。
また、内部報告のための資料作りにかける時間はなにも生み出さないという考えもあり、資料の持ち込みを禁止にすることで、資料の作成にかかる時間もなくしているのですね。
日産自動車の会議
経営の危機に陥ったときに大きな問題点とされたのが「意思決定スピードの遅さ」、「責任をとらない体質」、「縦割りの組織体制」などの、いわゆる「旧態依然とした日本企業」ということでした。
そこで、これらの問題点を解決するための手段の一つが「会議の開発」だったのですね。
議事録を作らない
日産の会議は「V-up」と呼ばれていて、議事録は作らないルールになっています。
議事録を作らない理由は次のとおりです。
- 議事録を関係者に送付すると、発言内容や発言の意図について訂正を求められる
- 決定事項の修正要望さえ出ることがある
- 部門間の対立のせいで議事録がなかなか完成しない
結果として、何のために会議を開いたのかわからなくなることもあったのですね。
そのため「V-up」は下記のような流れで進みます。
- 会議前に会議の目的や議題を参加者に共有する
- 会議では大きな模造紙と大量の付箋を使用する
- 参加者は無記名で付箋に自分の意見を記入する
- 付箋を模造紙に貼り、付箋に書かれた意見を元に議論する
- 議論の結果としてアクションプランを作成する
- 模造紙の写真を撮り、参加者と関係者へ共有する(議事録の代わり)
こうすることで、会議や議論の内容もわかるようになり、議事録と違って写真はそのまんまの事実ですから修正依頼もなくなるのですね。
意見は付箋に簡潔に書く
意見は付箋に書くことがルールです。
付箋は小さいので、意見は簡潔に書く必要があります。
意見が簡潔に書かれることで
- 発言のときに起こりがちな冗長化を防げる
- 発言のときに起こりがちな脱線も防げる
- 効率的に意見を集めることできる
- 意見を簡潔に書くことが考えをまとめるトレーニングにもなる
このようなメリットがあるのですね。
意見は匿名にする
付箋に意見を書くときには無記名がルールです。
これは余計なバイアスを無くし、所属部署や誰の部下であるかに関わらず、会社全体の利益を考えたた「全体最適」な意見を考えてほしいという狙いなのですね。
意思決定者は会議に参加しない
意思決定者は会議の冒頭で、会議の目的・背景・課題を参加者に伝えたら会議室から退室します。
そして議論が終わった最後に入室して、議論の結論やアクションプランに対して「Go/No Go」かを判断します。
意思決定者が会議に参加しない理由は
- 参加者が委縮して発言しにくくなることを避ける
- 意思決定者の影響を受けて意見にバイアスがかかることを避ける
- 意思決定者が脱線しても指摘しづらい
全体最適な結果を導き出す議論を行ううえで、意思決定者が会議に出ることはメリットよりもデメリットのほうが大きいという判断なのですね。
さいごに:会議にいろんな工夫を取り入れてみましょう
より生産的な会議にするために、有名企業もたくさんの工夫をしています。
それだけ『会議』に課題認識を持っているということなのですね。
ここで挙げた有名企業は、トップが『会議』に課題認識を持っていたからこそ、企業文化にまでなっています。
もしあなたのいる会社の幹部や上司が会議に課題認識を持っていたら、ここで紹介した会議のルールも取り入れやすいと思いますが、そうではないこともあると思うのですね。
そんなときは
いきなり「会社の会議を変えるぞ」とは思わずに
まずは「自分の変えられる範囲」から試してみてください。
たとえば
- 上司もいない、あなたが主催で開く会議
- 気心の知れた同僚たちで開くミーティング
とかです。
そういった機会であれば試しやすいと思いますので、「これいいかも」と思った会議ルールがあったらぜひ取り入れてみてほしいのですね。
ではでは
お疲れさまでした。
ほんとにいなくてびっくりするわー