頼りない上司の尻拭いは「事務手続き」で回避する。他人の責任を被らない3つの線引き

「君はどうしたい?」
「あとはよろしく」
「適当にいい感じに進めておいて」
こういう言葉に、じわじわ削られていた時期がありました。
一見すると、任されているようにも聞こえます。
期待されているように感じることもあります。
でも、何度か繰り返しているうちに、だんだんわかってくるんですよね。
決めるのは自分。
でも、何かあったときに責任を持つのも自分。
その状態が続くと、仕事そのものよりも、
「なんとなく全部こちらが持つ流れ」みたいなものに消耗していきます。
だから、どこかで線を引かなきゃいけない。
そう思うわけですが、これが正面からやろうとすると、あまりうまくいきませんでした。
本来これは上司の仕事ですよね、と言う。
判断はそちらでお願いします、と返す。
正論としては別に間違っていないと思います。
でも、現実の職場って、それだけで済まないんですよね。
空気が悪くなる。
やりづらくなる。
露骨に不機嫌になられる。
その後のやりとりが、かえって面倒になる。
結果として、また自分が疲れる。
なので、自分に必要だったのは
「正しさを主張すること」ではありませんでした。
必要だったのは、
感情を交えずに、処理として戻すことでした。
なるべく角を立てず、でも他人の責任は被らない。
そういう線引きを、少しずつ覚えていった感じです。
ここでは、私が実際にやっていた
他人のタスクを被らないための3つの線引き
をまとめておきます。
他人のタスクを被らないための3つの線引き
よく、上司を補佐しようとか、
先回りして動こうとか言われます。
それ自体は、たぶん間違っていないんだと思います。
ただ、決断から逃げるタイプの上司の下でそれをやると、
少し話が変わってきます。
補佐しているつもりが、
いつの間にか相手の仕事まで自分のタスクになっていくんですよね。
なので、相手を変えようとするより先に、
まずは自分が巻き込まれすぎない形にしていく必要がありました。
大げさに戦うわけではなく、
ただ、淡々とやり過ごすための手順です。
1. 判断ではなく「確認」に変える
一番やってしまいやすいのが、
「これ、どうしますか?」と曖昧に聞いてしまうことでした。
あるいは、
「A案とB案がありますが、私はA案がいいと思います」
と、自分の考えまで添えてしまうことです。
たしかに、選択肢を整理して持っていくのは、
よくある仕事の基本なんだと思います。
でも、自分がしんどくなっていた頃に失敗していたのは、
まさにこの「自分の意見を添える」やり方でした。
こちらが「私はA案がいいと思います」と言うと、
相手はただ「じゃあそれで」と乗るだけで済みます。
その場では早く進んだように見えるんですよね。
でも、あとで何かズレたときに、
「君がそれでいいと言ったから任せた」
という形で、判断の責任だけがこちらに残りやすくなります。
また、
「A案とB案、どうしますか?」
と相談ベースで聞くのも、相手によっては少し危ないです。
決めたくない人は、
そこでさらに別案を出してきたり、
話を広げたりして、結局またこちらに考えさせようとします。
なので途中からは、
主語を完全に相手に戻して、
相談ではなく確認に変えるようにしました。
たとえば、
〇〇の件ですが、現在のリソースだとA案かB案での進行になります。
どちらで進めるか、ご指示いただけますか。
という感じです。
自分の意見は、ここではなるべく言わない。
「どうするか」ではなく、
「どちらにするか」しか置かない。
少し冷たく感じるかもしれませんが、
このくらいの方が、むしろ余計な仕事が増えにくかったです。
感情を入れずに、選択肢だけ置く。
それだけで、最終判断が誰のものかがかなりはっきりします。
2. 記録を残して、責任の位置を固定する
仕事で疲れることのひとつに、
「言った・言わない」があります。
しかも、決断を避けたい人ほど、
あとになって認識をずらしてくることがあるんですよね。
そんなつもりじゃなかった。
そこまで依頼したつもりはなかった。
任せたのはあなたの判断だった。
そういう話になると、本当に消耗します。
なので、自分は口頭だけで終わらせないようにしました。
その場で話したことは、なるべくすぐに
メールかチャットで一行でもいいから残すようにしたんです。
たとえば、
〇〇の件、先ほどお話しした通りA案で進める認識で相違ないでしょうか。
念のため共有です。
このくらいの短いもので十分でした。
大事なのは、
「自分が勝手に進めたわけではない」形を残すことでした。
こういうものを残しておくと、
責任の位置がぼやけにくくなります。
「いちいち記録に残すと冷たく見られそう」と思うこともありました。
実際、自分も最初は少し気が引けました。
でも、もし相手がそれを嫌がるなら、
それは記録に残ると困る理由があるだけなのかもしれません。
こちらが相手の気分を害さないために、
毎回泥をかぶる必要はないんですよね。
あくまで備忘録。
あくまで事務的な確認。
そのくらいの温度で、
淡々と残していくのが一番ラクでした。
3. すぐに動かず、「一度止める」
個人的には、これが一番効きました。
無責任にボールを投げられたときに、
一番まずかったのは、
その場で反射的に「わかりました」と受けてしまうことでした。
受け取った瞬間に、
それが自分のタスクとして処理され始めるんですよね。
なので、飛んできたものは、
いったんその場で止めるようにしました。
すぐに持たない。
その場で抱えない。
一度、空中で止める感じです。
たとえば、急ぎの依頼を投げられたときは、
「忙しいので無理です」と返すのではなく、
数字や条件で止めるようにしていました。
ひとつは、仕事量を具体的に見せるやり方です。
今、急ぎのタスクが3件あり、明日の15時までは埋まっています。
着手はそれ以降になりますがよろしいでしょうか。
「忙しい」だと抽象的ですが、
数字や時間になると、少し受け止め方が変わります。
もうひとつは、
着手に条件をつけるやり方です。
まずは方向性の承認をいただいてから着手します。
〇〇のデータをいただけたら作業を始めます。
こうしておくと、
相手が何もしていないまま、こちらだけが動き始める流れを止めやすくなります。
正直、最初は少し勇気がいりました。
「じゃあ他の人に頼む」と言われたらどうしよう、と思ったこともあります。
でも、今ならむしろそれでよかったと思います。
それはつまり、
こちらが全部引き受ける流れを止められた
ということでもあるので。
この一言を挟むだけで、
「気づいたら自分の仕事になっている」状態はかなり減りました。
それでも、完全にはラクになりませんでした
こういう線引きを覚えてから、
職場で都合よく使われる感じはかなり減りました。
仕事としての消耗も、前よりは確実に減ったと思います。
でも、それで全部終わるわけではありませんでした。
一番やっかいだったのは、
家に帰ってからも頭の中で続くこと
でした。
あんな言い方でよかったのかな。
やっぱり自分がやってあげた方が、角が立たなかったかな。
このあとまた何かあって、火の粉がこっちに飛んできたら嫌だな。
そういうことを、家に帰ってからも何度も考えてしまうんですよね。
やり方を変えたことで残業は減ったとしても、
この「思い出し不安」みたいなものは残り続けました。
せっかく仕事が終わっているのに、
頭の中ではまだ相手をしている感じです。
これが地味にきつかったです。
問題は仕事そのものというより、切り替えられないことでした
このあたりでやっと気づきました。
上司の問題ではある。
でも、それだけではないんですよね。
しんどかったのは、
仕事が終わったあとも自分の中で終わらないことでした。
仕事中の対応なら、
ある程度は事務的な手順でコントロールできます。
でも、帰宅後とか、休日とか、
何もしていない時間にふと思い出してしまうのは、
仕事のやり方だけではどうにもなりませんでした。
だからといって、
何かを勉強して変わろうとか、
本を読んで考え方を変えようとか、
そういう元気も残っていませんでした。
疲れているときって、
本を開くこと自体がしんどいんですよね。
たぶん、余力がある人なら別のやり方もあるんだと思います。
でも、自分にはもう少し負担の少ないものが必要でした。
「自分で変える」より、「別のものを入れる」方がまだラクでした
なので、途中からは
「頑張って切り替える」より、
別のものを入れて、そっちに流す
方向に寄せるようになりました。
その中で、一番しんどくなかったのが、
ただ音声を流すことでした。
帰りの電車の中とか、
夕飯を作っているときとか、
夜に横になったあととか。
頭の中がまた仕事に戻りそうなときに、
Amazonの聴く読書、Audibleを流していました。
別に、通勤時間を有効活用したいとか、
スキルアップしたいとか、
そういう感じではありませんでした。
ただ、何も入れないでいると、
頭の中が勝手に仕事のことばかり始めるので、
その時間に別の音を入れていただけです。
ビジネス書ではなくて、
仕事と関係ない小説の方が、自分には合っていました。
疲れていて活字を読む気力がなくても、
イヤホンをつけて流しておけば、とりあえずそれでいい。
きちんと理解しようとか、
学ぼうとか、
そういう気持ちじゃなくても使える。
そこが一番ラクでした。
劇的に変わったというほどではありません。
でも、仕事のことだけを考え続ける時間が少し減るだけで、
当時はそれで十分でした。
無理に変わろうとしなくてもいいと思います
もし今、何かを頑張れる状態なら、
たぶんもう少し別のやり方もあるのかもしれません。
でも、そこまでの余力がない時期ってありますよね。
だからこれは、
意識高くやるものでもないし、
成長のためにやるものでもありません。
今のまま、疲れたままで、
ただ流し込むだけでもいい。
それくらいの使い方で十分だと思っています。
仕事の負担そのものは、
事務的な線引きで少し減らせることがあります。
でも、そのあとに残る感情や思考の引きずりは、
また別の対処が必要でした。
自分にとっては、それが
「無理に頑張らなくていい形にすること」
でした。
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