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自分より能力の低い上司の「都合のいい下請け」を辞めた日。尻拭いをやめて線を引いた話

自分より能力の低い上司の「都合のいい下請け」を辞めた日。尻拭いをやめて線を引いた話

自分よりも明らかに実務の知識がなく、現場の状況を無視した的外れな指示ばかりを出す上司。

その下で、実務が止まらないように先回りして準備し、起きかけているトラブルの火種を消し、尻拭いを一人で抱え込んでいる。

周りからは「優秀だね」「助かるよ」と重宝されるけれど、実際には上の役職がやるべきマネジメントや判断の仕事まで背負わされているだけ。

それなのに、権限が与えられるわけでもなく、給料が上がるわけでもない。

ただ都合のいい下請けとして扱われ、毎日、疲労だけが蓄積していく。

実は、かつて私もこの状況に陥り、ひたすら消耗していた一人でした。

これは、自分より能力の低い上司に振り回されるのをやめ、自分のペースで、自分のために働くことを目指そうとした、ある日の記録です。

なぜ能力の低い上司をカバーしても解決しないのか。「世間の正しい対処法」を試した失敗談

よくあるビジネス書には、「上司の弱みを補うのが優秀な部下だ」と書かれています。

私も最初はそれを信じて、能力の低い上司を必死にフォローしようと頑張っていました。

自分が動けば現場は回るし、いずれ評価もされるだろうと期待していたのです。

でも、そんなノウハウは、相手がまともなビジネスパーソンであることが大前提の空論でした。

気を利かせて動けば動くほど、なぜか自分が損をして、ただの便利屋として扱われていく。

真面目に働く側ばかりが消耗する、この職場構造そのものが一つの「バグ」だったのです。

そんな、徒労感だけが残った私の失敗談を振り返ります。

①足りない部分を補佐した結果、上司の丸投げを助長してしまった

上司は、業務の全体像を把握するのが苦手な人でした。

クライアントからの要望にも曖昧な返事しかできず、現場に下りてくる指示も抜け漏れだらけ。

だから私は「このままではトラブルになる」と危機感を覚え、足りない資料を作成したり、関係部署へ根回しをしたりと、上司の落としたボールを拾い集めるように補佐をしていました。

でも、それを続けるうちに状況はおかしくなっていきました。

私が先回りしてカバーするのをいいことに、上司は「あいつに振っておけば勝手に上手くやってくれる」と学習してしまったのです。

気づけば、上司が本来やるべき確認作業や進捗管理まで、すべて私に丸投げされるようになっていました。

いや、なんで私が上司の仕事までやっているんだろう、と。

良かれと思ってやった補佐が、上司の能力不足を隠すことになり、結果的にすべての尻拭いが自分のタスクになってしまいました。

②「成長のチャンス」と捉えて主体的に動いた結果、責任だけを押し付けられた

上司が頼りないなら、自分が主体的に動いて現場をリードすればいい。

それは自分のスキルアップにも繋がるし、成長のチャンスだと自分に言い聞かせていた時期もありました。

上司が決めきれない案件に対して、自分なりに方向性を定めて「これで進めます」と宣言し、実質的な進行役を担うようにしたのです。

しかし、現実はそう上手くはいきませんでした。

私が主体的に動いてプロジェクトが順調に進めば、上司は「私のマネジメントの成果です」と上に報告します。

逆に、何か少しでも問題が起きると、急に態度を変えて「君が勝手に進めたからだよね」とこちらに責任をなすりつけてくるのです。

決裁権は持たせてもらえないのに、失敗した時の責任だけは被らされる。

ただでさえ自分の業務があるのに、上司の代行業務まで背負い込み、休む暇もないほど業務量が増えていきました。

③コミュニケーションを増やした結果、的外れな指示が増えて対応に追われた

どうにかして現状を良くしたいと思い、上司とのコミュニケーションの量を増やしてみたこともあります。

こまめに進捗を報告し、相談を持ちかければ、少しは的確な判断を下してくれるのではないかと期待しました。

しかし、これも裏目に出ました。

情報を共有すればするほど、上司は「自分も仕事に参加している」とアピールしたいのか、現場の状況を無視した的外れな思いつきを口にするようになりました。

「もっとこうした方がいいんじゃない?」と見当違いなダメ出しをしてきたり、すでに終わった工程をひっくり返そうとしたり。

その度に、なぜそれが現実的ではないのかを1から説明し、納得させるための資料まで作らされる羽目になりました。

歩み寄ろうとした結果、ただ上司の思いつきに振り回され、対応のための時間が倍増しただけでした。

会社に相談する気力も、転職する元気もない。当時のリアルな本音

「そんな状況なら、人事やさらに上の上司に相談すればいい」

「さっさと見切りをつけて転職すればいい」

周りは簡単にそう言うかもしれませんし、頭では分かっているつもりでした。

でも、現実はそう簡単に動けるものではありません。

一度、思い切って先輩に相談したこともありましたが、「まあ、上手くやってよ」「あの人も悪気はないからさ」と濁され、かえって社内で気まずい空気が流れただけでした。

会社としては、誰かが我慢して波風を立てずになんとか現場が回っていれば、それでいいのです。

じゃあ転職活動をするかといえば、毎日上司の尻拭いでヘトヘトになって帰宅した後に、職務経歴書を書き直したり、面接対策をしたりする気力なんて残っていません。

それに、転職したとして、その先の上司がまともだという保証はどこにもないのです。

会社を変える元気もないし、上司の性格が変わる見込みもない。

それが、当時の私のどうしようもない本音でした。

このまま我慢し続けることの本当のリスク

逃げることもできず、相談しても解決しない。

それなら、私がこのまま感情を押し殺して、都合のいい下請けとして我慢し続けるしかないのだろうか。

諦め半分でそう思っていた時期もありました。

でも、常に能力の低い上司の尻拭いに追われる日々は、確実に実害をもたらしていました。

他人の仕事をカバーすることに一日のエネルギーを奪われ、本来の自分の業務に集中できず、効率が著しく落ちていく。

どれだけ頑張って現場を支えても、手柄は上司に吸い上げられ、失敗の責任だけが押し付けられる。

こんな理不尽を毎日飲み込み続けていると、「私は一体、何のために働いているんだろう」という根本的なモチベーションが静かに消え失せていくのを感じるのです。

このまま我慢し続けたら、体より先に、心がすり減ってしまう。

なにより、他人の尻拭いばかり上手くなって、自分の本来のスキルアップや休息に使うべき時間が完全に消滅していく。

それは、私にとって静かだけれど、とても現実的で取り返しのつかないリスクでした。

上司のための過剰なサポートをやめ、「自分の時間」を取り戻すと決めた

このままだと、自分が壊れてしまう。

そう気づいたとき、会社から求められている自分の役割、最低限の仕事はきちんと果たすけれど、それ以上はやめようと決めました。

能力の低い上司の欠点を補うために、自分を犠牲にしてまでサポートするのは終わりにする。

上司からの評価も、どうでもよくなりました。

そもそも、現場の状況すらまともに理解できない人に、私の働きが正当に評価できるわけがないからです。

だからこれからは、上司の尻拭いではなく、自分の本来の業務や、自分が少しでも楽になるための仕組み作りに時間と体力を使う。

上司の顔色を窺うのではなく、自分のペースを守るために働く。

誰かに褒められるような前向きな決断ではありませんでしたが、私にとっては、自分を守るための静かで確かな方針転換でした。

しかし、気持ちだけではかわせない「日々の丸投げ」

そうやって心の中で「もう過剰なサポートはしない」と誓った翌日。

出社してデスクに座った私のところに、いつものように上司がやってきました。

「悪いんだけど、これ急ぎでお願い。よく分かんないから適当にまとめといて」

そう言って、まったく整理されていない雑なデータを押し付けてきたのです。

頭の中では、「いや、それはあなたの仕事ですよね」と反論している自分がいます。

でも、面と向かって上司の顔を見てしまうと、どうしてもその言葉が出てきません。

ここで正論をぶつけて反発し、不機嫌になられたら、その後の業務がもっと面倒になる。

職場の空気も悪くなるし、結局最後は自分が割を食うのが目に見えている。

そうやって脳内で一瞬のシミュレーションをした結果、「あ、はい。分かりました」と愛想笑いを浮かべて引き受けてしまったのです。

心でどれだけ決意しても、いざ目の前に理不尽な要求が飛んでくると、防衛本能から反射的に受け入れてしまう。

ただの「気持ちの持ちよう」や精神論だけでは、自分の身を守ることなどできないのだと思い知らされました。

波風を立てずに要求をかわし、自分のペースを守るための「事務的な手順」

ただ冷たく突き放そうとしても、自分が悪者になるだけで、余計に精神をすり減らしてしまいます。

感情的に反発するのではなく、「丁寧な部下」という体裁は崩さないまま、上司の丸投げをすっとかわす方法が必要でした。

私はそこから、どうすれば角を立てずに他人の責任を被らないように線を引けるのかを考え始めました。

決意のような精神論ではなく、システムとしての防衛策です。

上司が不機嫌になる隙を与えず、まるでただの事務手続きのように、相手が本来やるべき仕事を相手の手元に差し戻す。

自分の業務範囲はここまでだと、明確かつ静かに伝える技術。

そんな具体的なコミュニケーションのやり方を少しずつ試行錯誤していくうちに、毎日の息苦しさが軽くなっていきました。

私が都合のいい下請けから抜け出し、自分のペースを守りながら、上司の的外れな要求をかわすために使っている具体的な手順を、次にまとめておきます。

どうにもならない現実に一人で耐え続けているなら、この淡々と処理する事務作業のステップを確認してみてください。