意見しても通らないのはなぜ? イエスマン上司の職場で“自分の軸”を守る3つの習慣

「一応、検討しておきます」
「いい意見だね、またタイミングを見て」
会議のあとに繰り返されるこの二つの言葉が、いつからか “提案がそっと消えていく合図” のように聞こえるようになっていきました。
最初の頃は前向きな反応だと受け取っていたのに、振り返るたびに私の案はどこかで行き場をなくし、気づけば時間だけが静かに過ぎていく──そんな日が続いていました。
そのうち私は、意見を口にする前から身構えるようになり、
「通らないのは、自分の力が足りないからだ」 と半ば思い込むようになっていました。
あのときの私は、自分を責めることでしか状況を整理できなかったんだと思います。
でも後になって冷静に見つめ直すと、そこにあったのは私の能力不足ではなく、
曖昧さを優先する空気や、波風を立てない文化、誰にも逆らわない“イエスマン的な判断の流れ”でした。
そしてもうひとつ、時間をかけて理解したことがあります。
“通ること”を前提にすると心が揺れる。でも、“通らない前提”に立つと、意外と軸はぶれない。
一見逆説のようですが、私にとっては働き方を立て直す大きなヒントになりました。
この記事では、私自身の失敗や停滞の経験から見えてきた──
についてまとめています。
「言ってもムダ」と黙るのか、
「通らなくても、自分の考えを育て続ける」のか。
その差はとても小さく見えますが、気づかないうちにキャリアの方向を大きく変えていくものだと痛感しています。
ここから先は、意見を“通す技術”の話ではありません。
通らない環境でも、自分をすり減らさず働くための“立て直し方” の話です。
同じようなモヤモヤを抱えている方に、少しでも安心材料になればうれしいです。
「イエスマン上司に振り回されて疲れてしまう」と感じている方は、
職場の“波風を立てない空気”がもたらす負担を整理した 総まとめページ もあわせてご覧ください。

意見しても“スルーされる”職場のリアル
勇気を出して会議で口を開いても、返ってくるのはいつもの定型句でした。
「前向きな意見だね、また検討しましょう」
「一理あるけど、今は優先度が…」
「まずは現状維持で様子を見よう」
その場では否定されないのに、気づけば何も変わらない。
この繰り返しの中で、「自分だけ空回りしているんじゃないか」という焦りがじわじわ積もっていきました。
声を出すほど虚しくなる感覚──あの時期は、会議に向かう前から胸の奥が重くなるのを覚えていました。
「言うだけ損かもしれない」
そんな言葉が、ふと心に浮かんだ瞬間さえあります。
上司が動かない3つの背景(リスク・空気・曖昧さ)
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少し冷静になったとき、私は 「なぜ上司は動かないのか」 を自分なりに言語化してみました。
責めるためではなく、構造を理解しない限り、私自身がいつまでも傷つき続けると思ったからです。
私が経験してきた職場では、こんな背景が重なっていました。
失敗したくない:リスク回避というブレーキ
新しい提案は、どうしても“失敗したら誰の責任か”がつきまといます。
年次の高い上司ほど評価を落としたくない気持ちが強く、現状維持を選びやすい。
私の案が響いていないわけではなく、単に“安全な道”が優先されていたんだと思います。
空気を乱したくない:同調圧力の壁
たとえ上司自身は前向きでも、他の管理職や役員が慎重な姿勢だと、一人だけ踏み出すのが怖い。
結果として「いいね、でも今は様子見で」とブレーキがかかり続ける。
“誰の課題か”が曖昧で宙に浮く提案
提案が会社全体の話になるほど、責任の所在がぼやけ、「今やるべきか?」という疑問が生まれやすい。
そのまま、ふんわりと消えてしまう──そんなことが何度もありました。
知らない頃の私は、
「またスルーされた=自分の価値が低い」
と勝手に結びつけて落ち込んでいました。
あとになって思うのは、
通らない理由の多くは“構造側にある”という事実です。
意見が通らないとき、人が抱える4つの心理反応

構造を理解したからといって、心が無傷でいられるわけではありません。
当時の私は、こんな揺れの中にいました。
- 「自分なんかが言う立場じゃないのかも」 と萎縮する
- 会議で発言が減り、“言わないほうが楽”に傾きはじめる
- 不満は増えるのに、行動は止まる
- 夜になると、将来への不安だけが静かに積もっていく
一番しんどかったのは、
「言ってもムダ」と「このままも嫌だ」の間で揺れ続けるあの感覚です。
黙っていれば傷つかない。
でも、黙るほど“仕事に期待する気持ち”が痩せていく。
そのジレンマを抱えたまま働くのは、想像以上に消耗しました。
そんな中で、私はある時ふと考え方を切り替えました。
「通らない前提で、自分がどう立ち回るかを決めてしまおう」
意見が採用されるかどうかより、
提案したあとに自分がどう保つかを優先する。
その視点を持った瞬間、なぜか呼吸が少しだけ楽になり、行動を整えやすくなりました。
- 意見がスルーされる背景の多くは“自分の能力”ではなく構造側にある。
→ 上司のリスク回避・同調圧力・課題の曖昧さが重なりやすい。 - 否定されないまま進まない状況は、静かに自信を削っていく。
→ 「言ってもムダ」と「このままじゃ嫌だ」の板挟みが最も消耗する。 - 通らない経験は、自分を責める材料ではなく“働き方を整えるサイン”。
→ 構造を理解すると、必要以上に心を痛めずに自分の軸を守りやすくなる。 - 「通らない前提」で動き方を決めると、摩耗より“選択”に意識が向く。
→ 採用されるかどうか以上に、自分の考えをどう育てるかが軸になる。
“通らない前提”で動くという新しい視点

「どうせ通らないのに、意見する意味あるのかな?」
以前の私は、この疑問に引っかかったまま思考が止まっていました。
提案をしても手応えがなく、会議が終わるたびに少しずつ気力を削られていく──そんな時期が続いたんです。
ただ、ある瞬間から 「通すこと」ではなく「影響を与えること」に視点を置く ようにしてみました。
すると、これまで“無駄に終わった”と思っていた行動の中に、通らなくても意味があったことが見えてきたんです。
通らない前提で動く、というのはつまり、
- 「一発OK」を期待しない
- 「少しずつ、じわじわ作用させる」前提で設計する
ということでした。
ここからは、私が実際に試して効果を感じた3つの視点です。
記録に残す:流されないための“エビデンス化”
まず意識したのは、「言いっぱなしで終わらせない」ことでした。
以前の私は、会議で提案してスルーされると、そのまま気持ちも一緒に流されていたんです。
ただ、これだと何も積み上がらないし、自分が何を大事にしていたかすら曖昧になっていきました。
そこで、こんな行動に切り替えました。
- 会議メモに「提案内容/上司の反応/宿題」を書き残す
- 議事録やチャットで、こちらから簡易まとめを投稿する
- 1on1後に「さきほどの件ですが」と要点をチャットで整理する
記録に残すことで、少しずつ効いてきます。
- 後日、同じ議題が出たときに「以前こういう話をしていました」と言いやすい
- 「言ってないこと」にされない
- 自分が何度も同じ軸で提案していることに気づき、ぶれが減る
その瞬間に通らなくても、記録に残れば 「次につながる素材」 になります。
一度の会議で完結させようとしないことが、摩耗を減らす最初の一歩でした。
事実で伝える:“主観”ではなく“起きたこと”で話す
もうひとつ大切だったのが、「主張より事実を増やす」 こと。
以前の私は、こう言っていました。
「最近、残業多すぎませんか?」
「この方法だと、みんなしんどいと思います」
本音ではあるけれど、上司からすると“感覚”に聞こえます。
そこで言い方を変えました。
- 「3ヶ月連続で平均残業が20h → 35h → 40hに増えています」
- 「A案件は××が詰まっていて、B案件は△△がボトルネックです」
この上で、
「なので、Aの工数見直しと、Bの分担再設計を提案させてください」
という構成にしました。
事実 → 解釈 → 提案
この順番にするだけで、ただの“文句”ではなく、
「再現性のある改善提案」 として受け取られやすくなりました。
目的を共有する:わがままに見せない工夫
三つ目は、「誰の何を良くしたいのか」をセットで伝えること。
たとえば、テレワーク制度の改善を提案したとき。
正直な本音は「通勤の負担を減らしたい」でしたが、それだけだと個人の要望になってしまいます。
そこで、
- 「集中できる時間が増える」
- 「チーム全体の残業削減につながる」
という組織メリットと結びつけて話すようにしました。
さらに、
「もちろん、私自身も通勤が減るのは助かります。ただ、それ以上に集中できる時間を作れば、チーム全体の残業を減らせると思っています。」
と付け加えることで、
“わがまま”ではなく“共通の利益” として受け取られやすくなります。
- 「通らない=意味がない」ではなく、通らなくても残る価値がある。
→ 記録・事実・目的を整えると、提案が“素材”として積み上がる。 - 一発OKを狙うほど心が削れ、継続できなくなる。
→ “じわじわ効かせる前提”のほうが現実的で、摩耗しない。 - 記録に残す・事実で話す・目的を共有することで、自分の軸のブレが減る。
→ 通らなくても、自分の考えを育て続けられる。 - 「通らない前提」で動くと、評価より“影響”に意識が向く。
→ 結果ではなく“働き方の積み重ね”に目が向き、心が軽くなる。
イエスマン文化でも“折れない自分”をつくる3つの習慣

ここからは、イエスマン文化の中でも 自分の軸を失わずに働くために、私が続けている3つの習慣 をご紹介します。
正直、職場の空気や上司のスタンスがすぐ変わることはほとんどありません。
私もそれを期待していた時期がありましたが、思い返すと、その期待がいちばん自分を苦しめていた気がします。
だからこそ、私は 環境を変えるのではなく、自分の思考と行動パターンのほうを静かに整える 方向に舵を切りました。
すると、摩耗の仕方が少しずつ変わり、毎日の疲れ方も穏やかになっていったんです。
① 意見メモ:目的・根拠・選択肢・リスク・次の一歩で整理する
一つ目は、「思いついた意見を、必ず短いメモに残す」 という習慣です。
以前の私は、会議で意見が通らなかった瞬間に、頭の中のアイデアまで一緒に消えていく感覚がありました。
そのたびに「やっぱり自分には向いてないのかも」と落ち込んで…でも、あれは単に記録していなかっただけなんですよね。
そこで私は、こんなフォーマットを使って書き溜めるようにしました。
- 目的: 何を良くしたいのか
- 根拠: なぜそう思うのか(数値/現場の声)
- 選択肢: 他にどんなやり方があり得るか
- リスク: 想定される懸念点
- 次の一歩: 何から試せるか
メモに残すようになって気づいたメリットは3つ。
- 会議で落ち着いて話せる(頭の整理ができている)
- 通らなくても“資産”として残る(後で再利用できる)
- 自分の関心領域がはっきりする(どこにモヤモヤしているかが見える)
振り返ると、私は「属人化」や「見える化」に関するメモがほとんどでした。
“ああ、私はここに強くストレスを感じているんだな” と自覚できたことも、心を守るひとつの材料になりました。
アイデアが採用されなくても、書き残すことで 思考の筋トレ になる。
これは、通らない環境でも折れないための小さな土台になりました。
② 小さな提案を繰り返す:“スモールベット”で試す
二つ目は、「小さな提案を、軽く何度も出す」 という習慣です。
以前は、いきなり大きな改善案をぶつけてはスルーされ、勝手に傷ついていました。
でも、大きく動かすほど上司も慎重になるのは、今なら分かります。
そこで私は、提案をこう変換しました。
- 「全社でやりましょう」
→「まずは自分のチームで2週間だけ試したいです」 - 「システム変更しましょう」
→「今あるツールのこの機能だけ、まず試しませんか?」
いわゆる “スモールベット(小さな賭け)” です。
小規模・短期間・検証つきの提案は、上司にとってリスクが低い。
だから「そこまでなら」と承認されやすくなります。
もちろん、小さな提案でも通らないことはあります。
でも、繰り返していると職場に少しずつこんな空気が生まれます。
- 「あの人の提案はリスクが小さい」
- 「まずは試してから考えてもいい」
そして、自分自身も
「通らないなら、今の権限の範囲でどこまでできる?」
と考える癖がつきます。
これは、小さな“できる範囲”を積み上げていく作業でした。
気づいた時には、思っていたより広い領域を扱えるようになっていたんです。
③ 評価軸を変える:承認より“自分の納得”を優先する
三つ目は、評価の物差しを自分の側に戻す ことです。
以前の私は、こんな風に考えていました。
- 提案が通る=価値がある自分
- 提案が通らない=役に立てていない自分
これだと、通らないたびに心が削れます。
私が疲れ果てていた理由の大半は、この“承認ベースの物差し”でした。
そこで、私は評価軸をこう変えました。
「他人に承認されるか」ではなく、「自分が納得できる努力だったか」
そのために使っているフレームは、とてもシンプルです。
- 努力: 準備はできていたか?データは揃えていたか?
- 学び: 通らなかった理由から何を得たか?
- 再現性: 次に同じ場面が来たら、どこを変えるか?
採用・不採用に関係なく、ここを振り返るだけで心の疲れ方が変わります。
- 「根拠が弱かったな。次はこの数字を入れよう」
- 「今回のキーマンはあの部門だ。先に話しておこう」
こうした学びの積み重ねが、
自分自身の“思考の筋力”をじわじわ育ててくれた 感覚があります。
他人の承認はコントロールできない。でも、
“自分の納得”は、いつでも自分の手に戻せる。
そのことが、折れそうな心を静かに支えてくれました。
- 「書き残す・小さく試す・自分で納得する」の3つの習慣が、折れない軸をつくる。
→ 環境が変わらなくても、自分の疲れ方が変わる。 - 通らない提案も、メモと振り返り次第で“思考の資産”に変わる。
→ スルーで消えるのではなく、次の材料として積み上がる。 - 小さな提案は、上司にも自分にも負荷が少ない“スモールベット”。
→ じわじわ影響を与え、動ける範囲を広げてくれる。 - 評価軸を他人から自分に戻すと、心のすり減り方が大きく変わる。
→ 「承認されるか」より「自分が納得できたか」を重視する。
まとめ|“意見が通らない職場”こそ、思考の筋力が鍛えられる

ここまで読み進めていただき、ありがとうございます。
振り返ってみると、私は長い間「意見が通らないこと=自分の価値が低い」という解釈に縛られていました。
でも、あの停滞の時期を越えて理解したのは、意見が通らない環境こそ、自分の“思考の筋力”が鍛えられる場所でもあるということでした。
「何を言ってもムダだ」と諦めるのは、一見、自分を守っているように思えます。
でもあの時の私は、その諦めを続けるほど自分への期待や可能性まで細くなっていく感覚がありました。
一方で、
“通らなくても、自分の頭で考え続ける”
と決めた瞬間から、環境が変わらなくても、自分の中に一本の線が通り始めました。
誰かに認められるかどうかより、「自分がどうありたいか」のほうに意識が向くようになったんです。
もし今、
- 上司や職場の空気に飲まれそう
- 意見が戻ってこないたびに、自分の考えが正しいのか揺れる
- 「自分の軸」をどこに置けばいいか分からない
そんな状態に心当たりがあるなら、
一度、思考を立て直す時間をつくるのもひとつの方法です。
私の場合、そのきっかけになったのは『嫌われる勇気』などの本でした。
- 他人の承認ではなく、自分の信念で動くとは何か
- 「課題の分離」で、どこまでが自分の責任なのか
こうした視点を知ってから、職場の空気に押されそうな時でも、
「それは上司の課題。じゃあ自分はどう動きたい?」
と冷静に戻れるようになりました。
紙の本でももちろん良いのですが、忙しいビジネスパーソンには Kindle Unlimited のような読み放題サービスが特に相性が良かったです。
- 通勤の10分
- ベッドに入る前の5分
こんな “1章だけ読む” スタイルでも、少しずつ思考がクリアになっていきます。
「意見が通るかどうか」よりも、
“自分の考えを、言葉として持てているか” のほうがはるかに重要で、
これは数年後のキャリアや転職の選択肢にも確実に影響します。
もし「最近、自分の頭で考える時間が減っているかも」と感じたなら、
それは小さな“立て直しのサイン”です。
どうか立ち止まったままにせず、気になる一冊からゆっくり手を伸ばしてみてください。
その小さな積み重ねが、思考の筋力を取り戻し、職場に流されない“自分の軸”を育ててくれます。
「イエスマン上司に振り回される」といっても、感じるしんどさは人それぞれ。
気になるテーマから、自分の状況に合うヒントを探してみてください。









