「辞める気はない」のにしんどい理由──“辞めない転職活動”をしない人の致命的な弱点


「転職する気なんて、正直あまりない。
でも、このままずっとここにいると思うと、なんとなく不安になる。」
30代に入った頃の私は、まさにこんな気持ちで毎日を過ごしていました。
仕事がめちゃくちゃ嫌いなわけでもない。パワハラ上司がいるわけでもない。給料も「めちゃくちゃ安い」とまでは言えない。だからこそ、「この程度でしんどいなんて、ワガママなのかな」と自分に言い聞かせて、モヤモヤをなかったことにしていたんです。
夜、家に帰ってなんとなく求人サイトを眺めては、
「どうせ自分には関係ない」
と画面を閉じる。また同じ電車で同じオフィスに向かい、同じ会議に出る。
「本気で転職活動をする余裕なんてないし」「上司もそこまで無能ってわけじゃないし」と、自分を納得させながら、結局何も動かないまま数ヶ月が過ぎていきました。今思えば、不安を抱えたまま“何もしなかった時間”こそが、いちばんの失敗でした。
そんなある日、部署の方針転換で、同年代の同僚が突然の異動や降格を言い渡されているのを目の当たりにしました。会議室の重たい空気と、帰り際のエレベーターで誰もしゃべらなかったあの静けさを、今でも覚えています。
「あ、今の自分って、守られているんじゃなくて、ただ“流されているだけ”かもしれない」
そう感じた瞬間、いちばん怖かったのは、
「いざという時の選択肢を、何ひとつ持っていない自分」でした。
市場価値も、他社の待遇感も、転職活動のやり方ですら知らない。
「辞める気はない」と言いながら、実は「辞めることも続けることも、自分で選べない状態」にいたんだと気づきました。
このとき初めて、「辞めない転職活動」という考え方を知りました。
辞める前提で動くのではなく、情報収集・比較・棚卸しを通じて、いつでも“選べる状態”をつくっておく転職活動です。私もそこから、転職サイトに“登録だけ”してみる/求人を比較して眺めてみるといった、小さな行動を始めました。
この記事では、私自身の失敗とそこからの学び、そして周りの30〜40代のケースも踏まえながら、
をお伝えしていきます。
「今すぐ辞めるつもりはないけれど、ずっとここにいるのもこわい」──もし、あなたがそんな揺らぎを抱えているなら。
私がそうだったように、いきなり大きく動かなくても、まずは“選択肢を増やす一歩”から始めれば大丈夫です。
この記事が、“何もしていない状態”からそっと抜け出すきっかけになればうれしいです。
「転職する気はないのに、将来だけがじわっと不安」という感覚は、この1記事だけでは語りきれない、もう少し大きな“動かないキャリアのリスク”ともつながっています。
30〜40代が見落としがちな「会社任せのまま時間だけが過ぎていく」構造や、備えていない人だけが損をしてしまう落とし穴については、別の記事で全体像を整理しました。
先に動かないキャリアの全体像をつかんでおきたい方は、ぜひそちらもあわせて読んでみてください。
→ 「転職する気はない」のに将来が不安になる理由──30〜40代が見落とす“動かないキャリアの落とし穴”を読む
転職準備ゼロの人ほど、今の会社に縛られてしまう

正直に言うと、私はかなり長いあいだ、「会社にお任せモード」で生きてきました。
評価も昇給も、異動も昇格も、「自分で選ぶもの」ではなく、
「きっと会社がちゃんと考えてくれているはず」
「上司もなんだかんだ守ってくれるはず」
と、どこかで思い込んでいたんです。
30代半ばに差し掛かった頃、組織再編やDXだの効率化だのという言葉が飛び交い始めました。
会議では「コスト」「生産性」「人員配置の最適化」といったワードが増え、同僚の配置転換や、役職の見直しも現実味を帯びてきました。
それでも私は、「まあ自分は大丈夫だろう」と、どこか他人事のまま過ごしていました。
今振り返ると、“一番の失敗は、危機感を覚えながらも何も準備しなかったこと”だったと思います。
会社まかせのキャリアがつくる「完全ノーガード状態」
当時の私は、
- 職務経歴書も書いたことがない
- 自分のスキルが市場でどの程度評価されるのかも知らない
- そもそも、どんなキャリアの選択肢があるのか分かっていない
という、完全なノーガード状態でした。
だからこそ、会社の人事がすべてでした。
「ここで評価されなくなったら、自分にはもう居場所がないかもしれない」
そう感じた瞬間、背中に冷たい汗が流れるような恐怖に襲われました。
上司の一言や人事評価の結果に、必要以上に振り回されてしまうのも、今思えば当然だったと思います。
本当は、「自分の市場価値を知る」とか、「転職活動の流れだけでも調べておく」といった小さな準備ができたはずなのに、
やる気が出ないことを言い訳にして、何一つ手をつけていませんでした。
選択肢が見えないと、人は“しがみつく”しかなくなる
心理学では、選択肢がまったく無い状態が続くと、人はだんだんと「どうせ何をしても変わらない」と感じるようになると言われています。いわゆる学習性無力感の状態です。
私はまさにこのパターンにはまっていました。
- 「転職なんて自分には無理だろう」と決めつける
- 「今さら他社で通用するとは思えない」と自信を失う
- 「こんな自分を雇ってくれているだけありがたい」と、現職にしがみつく理由を探し始める
何も準備していないと、“会社に選ばれる側”から抜け出せないんですよね。
自分でキャリアを選んでいるつもりで、実は「選ばれなかったら終わり」という状態に、自分で自分を追い込んでいました。
一方で、同じチームなのに、淡々と自分のキャリアを準備している同僚もいました。
- 定期的に職務経歴書を更新している
- 転職サイトに登録して求人情報を眺めている
- スカウトが来たら、条件だけでも聞いてみる
彼らは、たとえ異動の打診があっても、どこか落ち着いていました。
「最悪、この会社じゃなくても働き口はある」と、心のどこかで知っているからです。
その姿を見て、ようやく私は重い腰を上げて、
まずは「転職サイトに登録だけしてみる」「職務経歴書をとりあえず10行だけ書いてみる」という小さな行動を始めました。
この一歩で、少しずつ「しがみつくしかない状態」から抜け出せた感覚があります。
何も準備していない人ほど、“今の会社だけが自分の世界”になってしまう。
これが、辞めない転職活動をしない人の、いちばん大きな弱点だと感じています。
私が最初にやったのは、すごく小さなことでした。
いきなり転職エージェントに面談を申し込んだわけでもなくて、
リクナビNEXTに登録して、どんな求人やスカウトが来るのかを眺めてみるところから始めました。
「今すぐ辞める」ためではなく、
「いざという時、ここだけに縛られない自分でいるための備え」としての登録でした。
- 準備ゼロだと、人事の一手一手が「人生のすべて」になってしまう。
→ 評価や異動の結果に、自分の存在価値そのものが振り回されやすくなる。 - 選択肢が見えない状態は、学習性無力感を生みやすい。
→ 「どうせ自分には無理だ」と決めつけてしまい、現職にしがみつく理由ばかり探してしまう。 - 少しでも外の選択肢を知っている人ほど、“しがみつかない余裕”がある。
→ 市場価値・求人情報・職務経歴書を押さえておくことで、「最悪ここだけじゃない」と落ち着いて判断できる。 - “辞めない転職活動”は、今の会社を続けるかどうかを自分で選び直すための保険になる。
→ 退職前提ではなく、「続ける/動く」を主体的に選べる土台づくりだと考えると、一歩踏み出しやすくなる。
比較対象がないと、「洗脳されたように」いつまでも我慢してしまう

もうひとつ、あとから振り返って本当に怖かったなと思うのは、
「比較対象がないと、人はどこまでも我慢できてしまう」
ということでした。
当時の私は、
「どの会社もこれくらい忙しいはずだ」
「上司なんて、どこに行っても似たようなものだろう」
「給料が上がらないのは、自分の実力不足だから仕方ない」
と、頭の中で何度も唱えていました。
今思えば、これは「現状にしがみつくための呪文」みたいなものだったのだと思います。
日曜の夜になると、なんとなくお腹が痛くなるのに、
「みんなこんなものだろう」と自分に言い聞かせて、また月曜日の満員電車に乗る。
「自分は我慢しすぎているかもしれない」という疑いすら持てなかったことが、いちばんの失敗でした。
そんななかで、転職した友人の話を聞いたとき、あまりにも世界が違うことに衝撃を受けました。
- 残業が激減して、年収はほぼ変わらない
- 上司が「ちゃんと話を聞いてくれる」
- 評価の基準が明確で、努力がボーナスや昇給に反映される
正直、「そんな会社、本当にあるの?」と疑ったくらいです。
でも同時に、「もしかして、自分の“普通”はかなり歪んでいるのかもしれない」と、初めてハッとしました。
「ここしか知らない」が、いちばん怖い“洗脳状態”
人は、自分が置かれている環境が「当たり前」だと感じ始めると、少しずつ感覚が麻痺していきます。
私の場合は、
- 休日出勤が暗黙の前提
- 新しい仕事は「やる前提」でどんどん振られる
- 明らかに人が足りていないのに、増員の話は一切出ない
という状態が、だんだんと“普通”になっていきました。
最初の頃は、「これはちょっとおかしいかも」とモヤモヤしていたはずなのに、
忙しさに飲み込まれていくうちに、
「どこも似たようなものだよな」
「自分が弱いだけかもしれないし」
と、自分の感覚のほうを疑うようになっていきました。
もちろん、どんな会社にも良いところと悪いところがあります。
それを理解したうえで「ここで続ける」と決めるのは、立派な選択です。
ただ、他を知らないまま「ここが普通」と思い込むのは、今振り返ると、かなり危うい状態でした。
比較対象がないと、
- 「自分が我慢しすぎている」ことに気づけない
- 「もっと合う環境があるかも」という発想すら出てこない
- 気づいたときには、心身をすり減らして限界ギリギリで動くことになる
こうして、「気づいたときには、もう余裕が残っていない」という未来に自分で近づいてしまっていたのだと思います。
少し比較するだけで、見える選択肢が一気に増える
そこで私は、自分の感覚が本当におかしいのかどうかを確かめたくて、まずは小さく「比べる」ことから始めました。
- 同業他社の求人票を、通勤電車の中で眺めてみる
- 転職サービスに登録して、どんなオファーが来るかだけ見てみる
- 既に転職した友人や元同僚に、働き方や評価制度の話を聞いてみる
最初は「見たところでどうせ自分には関係ない」と思っていましたが、
それでも実際に数字や条件を目にすると、「うちの“普通”は、世の中的には全然普通じゃないんだな」と、少しずつ感覚が戻ってきました。
特に、初めてスカウトメールをもらったとき、
「あ、自分にもちゃんと“値段”が付くんだ」
と、妙にホッとしたのを覚えています。
そこから、
- 「今の会社が唯一の選択肢」という感覚が少し薄れ
- 「この環境に無限に我慢する必要はないかもしれない」と思えるようになり
- 上司の理不尽な一言に対しても、「ここでダメなら別の道もある」と、心の中で一歩引いて見られるようになりました
比較対象を持つことは、「今すぐ辞める」ためではなく、「自分を洗脳状態から解放するためのリハビリ」だったのかもしれません。
「ここしか知らない」状態から抜け出すには、
完璧な準備よりも、まずは“別の現実”をチラ見してみることが大事だと感じています。
私の場合は、同業他社の求人票を探すよりも先に、
リクナビNEXTに登録して、どんな求人やスカウトが来るのかを見比べてみるところから始めました。
転職を決めるためではなく、
「自分が本当にどれくらい我慢しているのか」を知るための比較材料を集めるつもりで使っていました。
- 比較対象がないと、「ここが普通」と思い込みながら我慢を積み重ねてしまう。
→ 自分の感覚がおかしいのではなく、環境のほうが歪んでいる可能性に気づきにくくなる。 - 「ここしか知らない」状態は、ほとんど洗脳に近い危うさがある。
→ 我慢しすぎていることに気づけず、心身をすり減らしてから限界ギリギリで動く未来を招きやすい。 - 小さく比較するだけでも、“今の普通”を相対化する材料が手に入る。
→ 求人票を見る・転職サイトに登録だけしてみる・友人の話を聞くことで、自分の我慢度合いを客観視できる。 - 辞めない転職活動は、「洗脳状態」から抜け出すためのリハビリになる。
→ 退職前提ではなく、「ここに残る/別を選ぶ」を落ち着いて選び直すための土台づくりになる。
情報不足は、判断力とメンタルをじわじわ奪っていく

もう一つ、「辞めない転職活動」をしていないと本当に危ないな…と後から痛感したのが、判断力の問題でした。
まだ何も準備していなかった頃の私は、
- 部署異動の話が出るたびに、必要以上に不安になる
- 評価面談の一言一言に一喜一憂して、夜眠れなくなる
- 「この会社にしがみつくしかない」と思うあまり、冷静に物事を考えられなくなる
という状態でした。
今振り返ると、あのときの私は「メンタルが弱かった」のではなく、単純に“材料(情報)がなさすぎた”だけなんですよね。
だから、上司の表情ひとつ、評価のコメントひとつに、振り回され放題でした。
情報がないと、「感情」でしか人生の選択ができなくなる
当時の私は、
- 「今の年収は、市場的に見てどうなのか」
- 「自分の経験は、他社ではどのポジションで活かせるのか」
- 「自分と同じ年代・職種の人たちは、どんなキャリアを選んでいるのか」
といった基本的な情報を、ほとんど持っていませんでした。
その結果、
「なんとなく不安だから」
「なんとなく怖いから」
といった“感情だけ”を頼りに、大事な判断をしてしまっていたんです。
たとえば、本当は興味のあった部門への社内異動の話が出たときも、
「もし失敗したら戻る場所がないかもしれない」
「今より評価が下がったらどうしよう」
と怖さだけが先に立って、ちゃんと情報を集める前に断ってしまいました。
当然、そのあとしばらくしてから「一度話だけでも聞いておけばよかったな」と後悔しました。
逆に、ある程度の情報を持っている人は、
- 「自分の年収は中央値より少し低めだから、交渉の余地がありそうだ」
- 「このスキルは別業界でも通用するから、選択肢は一つじゃない」
- 「今動かないと、数年後には選べる求人が減っていきそうだ」
と、数字や事実をベースに落ち着いて判断できます。
情報がないと、判断の軸が“その場の感情”だけになる。
これが、当時の私がハマっていた一番危険なパターンでした。
「情報収集=転職前提」ではなく、「今を選び直す準備」
特に日本では、「転職サイトに登録する=もう辞めるつもり」というイメージが根強い気がします。
私も最初はまさにそう思っていました。
「登録なんてしたら、気持ちがぐらつきそう」
「裏切りみたいで罪悪感がある」
と、怖かったんです。
だから、忙しさややる気のなさを言い訳にして、ずっと何もしてきませんでした。
でも、勇気を出して実際に登録してみて感じたのは、むしろ逆でした。
- 自分にどんなオファーが来るのか
- どんなスキルが今、強く求められているのか
- 他社の働き方やカルチャーはどんな感じなのか
こうした情報を知ったうえで、あえて「今は動かない」という選択をするほうが、ずっと納得感があったんです。
「他にも道はあるけれど、今はこの会社でやってみる」
そう思えるようになってからは、
上司の評価に振り回されすぎることが減り
部署異動の話が出ても、「本当に自分にプラスかどうか」を落ち着いて考えられるようになり
「この会社にしがみつくしかない」という感覚から、少しずつ抜け出せました。
情報不足のまま現職にしがみつくよりも、情報を持ったうえで“今を選び直す”ほうが、よほど健全だと、今は感じています。
私がリクナビNEXTに登録したときも、正直「本気で転職するつもり」はありませんでした。
どんな求人があって、自分にどんなスカウトが来るのかを知るための、ただの“情報収集”としての一歩でした。
実際にやってみて感じたのは、
「辞めるための登録」ではなく、「今の自分を納得して選び直すための登録」なんだな、ということです。
- 情報がないと、判断の軸が“その場の感情”だけになってしまう。
→ 不安や怖さに押し流されて、大事なチャンスを逃したり、後悔の残る選択をしやすくなる。 - 年収・スキル・キャリア事例などの“基準値”を知るだけで、判断がブレにくくなる。
→ 「自分はどの位置にいるのか」が見えることで、過剰な不安や自己否定が和らぎやすい。 - 転職サイトへの登録や情報収集は、「辞める前提」ではなく“判断材料を増やす行為”だと考える。
→ 情報を持ったうえで「今は動かない」と決めるほうが、現職を続けるにしても納得感が高まる。 - 辞めない転職活動は、「しがみつき」ではなく「選び直し」のための下準備になる。
→ いつでも選べる状態をつくることで、今の職場とも少しフラットな距離感で向き合えるようになる。
“辞めない転職活動”が30〜40代のメンタルを守る理由

ここまで書いてきたように、辞めない転職活動の本質は、やっぱり
「いつでも選べる状態をつくっておく」
ことだと感じています。
それは、
- すぐに会社を辞めるためでもなく
- ドラマのような年収アップだけを狙うためでもなく
「もしものときに、自分の心を守るクッションを用意しておく」ことに近いです。
私はそれを知らないまま、
「ここで評価されなくなったら終わりだ」
「異動を断ったら、もう居場所がないかもしれない」
と、自分で自分を追い詰めてしまっていました。
今振り返ると、メンタルが弱かったというより、“逃げ道ゼロで働いていたこと”自体が危なかったんですよね。
「最悪、ここじゃなくてもいい」と思えることが、心の支えになる
実際に私が「辞めない転職活動」を始めてからやったことは、すごくささやかなものでした。
- 転職サイトに登録し、スカウトメールが届くようにした
- 職務経歴書を一度ちゃんと書いてみて、自分の経験を整理した
- 気になる求人を「お気に入り」に入れておき、いつでも見返せる状態にした
正直、「これだけで何が変わるんだろう」と思っていました。
でも、少しずつ日常の感じ方が変わってきたんです。
たとえば、上司から理不尽なことを言われたとき。
以前の私は、
「ここでダメになったら、次はない」
と感じて、家に帰ってからもずっと頭の中で反芻していました。
でも、いくつかスカウトメールが届くようになってからは、
「最悪、ここで全てが終わるわけじゃない」
「他にも自分を必要としてくれる場所はゼロじゃない」
と、心のどこかで思えるようになりました。
状況は何も変わっていないのに、
「ここしかない」から「ここ“だけ”じゃない」に変わっただけで、心へのダメージがかなり違うんですよね。
逆に、何も準備がない状態だと、
「ここで評価されなくなったら、自分は終わりだ」
という感覚になりがちです。
この差が、日々のメンタルにじわじわ効いてくるのを、身をもって感じました。
登録→比較→棚卸しの「3ステップ」なら、忙しくても続けやすい
私が実際に試してみて、「これならギリギリ続けられる」と感じたのが、この3ステップでした。
① 登録:まずは転職サービスに一つだけ登録してみる
大手の転職サイトや転職エージェントなど、
「ここなら情報がそれなりに集まりそうだな」と思うところを一つだけ選びました。
最初は複数に登録する気力もなかったので、
「とりあえず1社。ダメならやめればいい」という感覚で、会員登録だけ済ませました。
② 比較:求人やスカウトを“眺めるだけ”から始める
毎日チェックする必要はありません。
私は「週に1回、通勤電車の中で3〜5分だけ見る」と決めて、アプリを開いていました。
- 今の自分にはどんな求人が届いているのか
- 他社の条件はどれくらいなのか
- どんなスキルが歓迎されているのか
ざっくり眺めるだけでも、「今の自分の立ち位置」が少しずつ見えてきます。
③ 棚卸し:職務経歴書やスキルを“ラフに”アップデートする
いきなり完璧な職務経歴書を書こうとすると、たいてい挫折します(私は2回ほど挫折しました…)。
そこで、
- 「この1年間でやったこと」を箇条書きにしてみる
- 関わったプロジェクト名だけでも書き出してみる
- 少し時間がある日に、一つの経験だけ具体化してみる
といった“10行だけ書く”くらいのノリで始めました。
この3つをゆるく続けてみただけでも、
- 自分の市場価値の“現在地”がなんとなく分かる
- 現職の良いところ・悪いところを客観視しやすくなる
- 「いざとなったら、動ける」という感覚が心の支えになる
といった変化がありました。
「ちゃんとやらなきゃ」と思っていた頃より、
“ゆるく続ける前提”に変えたほうが、逆に動きやすかったです。
ここまで書いてきたように、大事なのは「完璧な準備」ではなく、
“いつでも選べる状態に近づいておくこと” だと思います。
私自身、最初の一歩はとても小さくて、
ただ リクナビNEXTに登録してスカウトを眺めてみる ことから始めました。
「いきなり転職活動!」ではなく、
今の自分の市場価値や、どんな求人があるのかを知っておくための登録だけ でも、
メンタルの余裕はかなり変わってきます。
「動かないリスク」を減らすのは、今日のほんの一歩だけでいい
“辞めない転職活動”と聞くと、
「そんなに器用に動けるタイプじゃないし…」
「忙しすぎて、転職活動なんてムリ」
と思う方もいるかもしれません。
実際、私もずっとそう思って動けませんでした。
でも、やってみて分かったのは、
- 会員登録だけ済ませる
- プロフィールを埋めてみる
- 職務経歴書をざっくり作ってみる
といった、小さな行動の積み重ねでしかない、ということでした。
私は最初の登録ボタンを押すまでに、数ヶ月もかけてしまいましたが、
終わってみれば「なんであんなに怖がっていたんだろう」と拍子抜けしたのを覚えています。
それでも、その「数分の行動」をしたかどうかで、その後の安心感は大きく変わりました。
今日の5分の行動が、数年後の“選べる未来”を守ってくれる。
“辞めない転職活動”は、そのための“精神の保険”だと、今は感じています。
- 辞めない転職活動の本質は、「いつでも選べる状態」をつくること。
→ すぐ辞めるためではなく、「ここに残る/別を選ぶ」を落ち着いて選び直すための土台になる。 - 「最悪、ここじゃなくてもいい」という感覚が、日々のメンタルを守ってくれる。
→ 逃げ道ゼロの状態よりも、上司の一言や評価に振り回されにくくなり、心のダメージが軽くなる。 - 登録→比較→棚卸しの3ステップなら、忙しくても“ゆるく続けやすい”。
→ 1社だけ登録する/週1回眺める/職務経歴書を10行だけ書く、といった小さな習慣でも効果が出る。 - 動かないリスクを減らすのに必要なのは、「今日のほんの一歩」だけ。
→ 数分の行動が、数年後の選択肢と安心感につながる“精神の保険”になる。
まとめ|何もしていない“今”こそ、いちばんリスクが大きい

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
振り返ってみると、私が一番後悔しているのは、つらさを感じながらも「何もしないまま」数年を過ごしてしまったことでした。
上司や会社に対する不満というより、「このままでいいのかな」という違和感を抱えたまま、何も準備をしなかった時間が、一番リスクの高い状態だったと今は感じています。
この記事でお伝えしたかったのは、次の4つです。
「転職する気はないから、準備なんていらない」と考えるのは、ある意味とても真面目で誠実なスタンスだと思います。
私も長いあいだ、同じように考えていました。「会社を信じて働き続けるのが筋だ」とどこかで思っていたからです。
でも、会社のほうは、私たち一人ひとりの人生を守るために存在しているわけではありません。
組織再編や評価制度の変更、DXや効率化の波が押し寄せるなかで、“会社任せ”のまま時間だけが過ぎていくリスクは、確実に大きくなっています。
私が痛感したのは、
- 判断も情報も会社側に預けきったまま
- 自分の市場価値もキャリアの選択肢も知らないまま
気づいたときには「ここで外れたら終わりだ」と思い込む状態になっていた、ということでした。
もし今、
- 「このままでいいのかな」と、ふと不安になる瞬間がある
- でも、具体的な行動にはまだ移せていない
という状態なら、それは「まだ間に合うサイン」だと私は思います。
不安を感じなくなってしまう前に違和感に気づけた、ということでもあるからです。
いきなり転職サイトをフル活用しなくて大丈夫です。
私が実際にやってみて「これならなんとか続けられた」と感じたのは、本当に小さな一歩でした。
- どこか一つに転職サイトに登録してみる
- スカウトメールを「読むだけの日」をつくる
- 今年やった仕事を、メモ帳に10行だけ書き出してみる
たったこれだけでも、「何もしていない自分」からは確実に一歩抜け出せます。
私も、最初の登録ボタンを押すまでは怖かったですが、終わってみれば「もっと早くやっておけばよかった」と心から思いました。
“辞めない転職活動”は、今の会社を辞めるための行動ではなく、今の自分を守るための行動だと、今は感じています。
今日の5分が、数年後のあなたにとっての「ありがとう」につながるかもしれません。
よかったら、この記事を閉じたあと、まずはひとつだけ行動を決めてみてください。
小さくても一歩踏み出した瞬間から、あなたのキャリアの主導権が、少しずつ自分の手元に戻ってくるはずです。
この経験が、少しでもあなたの安心材料になればうれしいです。
もし「とりあえずどこか一つ」と迷っているなら、
私はリクナビNEXTから始めてみてよかったと感じています。
求人検索はもちろん、スカウト機能やグッドポイント診断など、
「登録しておくだけ」で今の自分の立ち位置を知る材料が増えました。
この記事を読み終えた“今”が、いちばん動きやすいタイミングだと思います。
“辞めない転職活動”は、動かないキャリアのリスクを減らすための、ほんの一部分にすぎません。
実際には、会社の構造変化や評価の仕組み、30〜40代特有のキャリア停滞など、「転職する気はない」人ほど見落としやすい落とし穴がいくつもあります。
今の職場にとどまるにしても、将来の選択肢を広げるにしても、まずはその全体像を一度整理しておきたい…と感じた方は、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。
→ “動かないキャリアの落とし穴”をまとめて整理した記事を読む








